「劇場公開までの道のり#55」が更新されました!
vol. 88 2015-05-25 0
こんばんは!プロジェクトマネージャーの野村です。
劇場公開までの道のりが更新されましたので、ご紹介します。秋田コネキキネマの清水川裕一さんより映画へのコメントをいただきました!監督自身による清水川さんとの出合いやエピソードとともにご覧ください。
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「劇場公開までの道のり#55~秋田コネキネマの清水川裕一氏よりコメントをいただきました!~」
こんばんわ。我妻です。秋田コネキネマの清水川裕一氏より作品へのコメントをいただきましたのでご紹介します!
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東北”エイガという、東北6県の小さな自主映画祭で初めてこの作品のパイロット版を観た時、私は涙した。カメラに映る素朴で真っ直ぐな人びと…。部落という狭苦しい人間関係を背負いながらも温かな人びと…。地方の田舎ではよくある何気ない風景が、凄く目に焼き付いた。
我妻監督が幾多の困難を乗り越えて完成させたこの作品には、人生の断片が散りばめられている。それは観た人全ての人生の断片として、後世まで残ることだろう。 映像表現の原点がここにある。
清水川裕一(秋田コネキネマ)
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以下長文になりますが、清水川さんのコメントを紹介する上で少し説明が必要です。
モーションギャラリーのアップデートを毎回真面目に読んでくださった方はご存知かと思いますが、『波伝谷に生きる人びと』が現在の形になるまでには4つの段階があります。一つ目は2011年12月に波伝谷で試写会を行った第1回途中経過版(6時間版)。二つ目は2012年11月に波伝谷で試写会を行った第2回途中経過版(56分版)。三つ目は2013年8月15日に波伝谷で完成試写会を行い、山ドキュでも上映した128分版。そしてそれに修正を加えて2014年の1月に南三陸町で完成披露上映会を行った現在の134分版です。
このうち、第1回目の6時間バージョン『波伝谷に生きる人びと―第1部―ENTER THE PLENTIFUL WORLD !』は未発表のまま封印したのですが、その後も編集が上手く行かずに悩んでいた時に舞い込んできたのが、清水川さんのコメントの中にある「東北”エイガ」というプロジェクトでした。それは2012年の12月に東北6県で映像製作をしている作家たちが共同で開いた上映会で、たまたま僕に出品の話が来たのですが、それは「30分以内で」という条件付きのものでした。
「震災を経て立ち上がった一番最初の上映会で、自分の震災前の映像を上映することには大きな意味があるのではないか。それに30分でという条件付きならば、今までとは違った映像の見方ができるかもしれない。」こうしてたまたま舞い込んできた話に大きな可能性を感じた僕は、作品の出品を引き受けることにしました。
こうして編集を進める中で出来上がったのが、第2回目の56分バージョンになります。構成もそれまでのものとはガラッと変わり、自分でも不思議な手応えのある作品となりました。そして名付けたタイトルが、『ENTER THE PLENTIFUL WORLD !』です。この英題には元々「波伝谷という豊かで複雑な世界に分け入る作者自身」という意味を込めていたのですが、ここでは「東北の震災前の姿を知り、震災後の自分たちが作る豊かな世界」という願いを込めました。そうしてさらに30分に縮めたものが、波伝谷の映画としてはじめて一般公開されることになったわけです。
上映会は青森と秋田の2会場で同じ日に行われ、僕は青森のほうに行きました。なので、この時点で清水川さんとは直接お会いしていないのですが、上映後に電話をしてみたら、何と、司会を務めた清水川さんが、この映画が上映されたあと泣きながら司会をしたそうです。青森の観客の手応えもよく、僕にとってはじめての上映会は非常に思い出深いものになりました。
余談になりますが、この秋田会場の上映で作品がある方の目に留まり、2013年のあきた十文字映画祭で56分バージョンが上映されることになりました。清水川さんとはそこで初めてお会いし、かなり熱く酒を飲み交わしたのを覚えてます。しかしながら、僕の期待とは大きく異なり、56分バージョンのほうは映画関係者からはけっこう酷評でした(笑)しかし元々パイロット版だったため、口で言い訳をしてもしょうがないので、その悔しさをバネに完成させたのが本作になります。清水川さんも56分版より30分版のほうがインパクトがあったとのことでしたが(笑)最終バージョンを観て「今回のが一番良かった」と言ってくれました。今後も良き映画仲間であるとともに、良き理解者であってほしいと願います。
そんなこんなで長くなりましたが、清水川さん、この度は素敵なコメントありがとうございました!そして6時間バージョンから56分バージョンになるまでの経緯についてはピーストゥリー・プロダクツの過去のブログにも掲載されておりますので、興味のある方は是非ご一読ください。
「うっ、生まれました!!」(2012.12.8)
http://peacetreeproducts.blog.fc2.com/blog-entry-6.html
それでは今後も『波伝谷に生きる人びと』をよろしくお願いいたします!(我妻)
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