都市をあきらめたくない
vol. 4 2021-07-09 0
手垢がついた、自由度の高い都市を目指して
私たち2人が出会ったのは、オリンピック前の再開発で大きく姿を変えていく渋谷でした。
建設ラッシュにわく渋谷の街で、市民の意思や手垢がついた空間を大切にしたい、そんな想いを共有できたことが今の活動に繋がりました。
なぜ、今さら都市?と思われるかもしれません。実際、過密人口・消費過剰の都市に飽き飽きして、地方に引っ越して活動を続けている仲間も多いです。コロナウイルス感染症の蔓延に伴うロックダウンで今までのライフスタイルを見つめ直し、都市を離れていく人も後を立ちません。私たち自身、人間のエゴが積み重なった資本主義的な都市のあり方には疑問を覚えます。そして、自分たちの手の届かないところでトップダウンに姿が変わっていく街を目にするたびに、言葉で言い尽くせないような寂しさを感じます。
それでも、私たちは「都市をあきらめたくない」んです。
課題山積みの問題児である「都市」という存在から目を背けるのではなく、ここでどう愉快に暮らしていけるのか、皆さんと考えてみたいのです。都市か田舎か、という二項対立ではなく、都市特有の暮らしを、どうサステナブルに、面白いものにしていけるのかに、私たちは興味があります。
2050年には、世界総人口の3分の2が、都市に暮らすことが予想されています。人間の大半が暮らす場所としての都市は、持続可能な社会を築いていくために無視できない存在であり、多様な出会いを通じて、新しい文化やライフスタイル、コミュニティが生まれる場所でもあります。
人々が作り出す都市を、私たちは愛しいなと思います。それは、そこに暮らす人々の「手垢」がついた空間であり、美しい混沌であると私たちは考えます。
このフェスティバルが、そして、それをカタチづくるプロセスを通じて、私たちが見たい都市の風景を、提案していきます。