お米の作り手と、日本酒を飲む地域の人をつなぐ「神山の味」
vol. 23 2018-07-09 0
農業長の白桃です。
田植えや夏野菜の作付け、小麦の収穫も終わり、やっと農作業が落ち着いて来ました。
今回は、お米づくりから始める日本酒づくりについて話したいと思います。
神山には、40年ほど前まで、酒蔵があったとお年寄りから聞きます。
残念ながら34歳の私が生まれた時には、すでに神山で日本酒は作られなくなっていました。
フードハブ・プロジェクトを立ち上げた時から、「お米を中心にした会社をだからこそ、自分たちが作るお米を使っていつか日本酒を作りたいね」とメンバーと話をしていました。
それが去年、色々な人の力を借りて、「神山の味2017」を完成まで行き着くことができました。
そして、もう「神山の味2018」に向けた準備が始まっています。
今年植えたお米は、〝日本晴〟という品種です。
日本晴は、コシヒカリが登場するまでの1970年〜1978年までの間、全国の作付面積第1位の品種でした。もちろん、神山でもたくさんの方が育てていた品種で、〝日本晴〟と聞いて懐かしいと感じる方はたくさんいらっしゃるじゃないかと思います。
「今年は日本晴を育てるんですよ」
と地域のお年寄りに話す機会があったのですが、
「昔は、よー育てよったんよ。神山の気候にもよー合っとうし、背も低くーて育てやすいんよ。ほんで穫れ目もええしな」
と懐かしそうに話をしてくれました。そんな地域のみんなにとって、昔の米作りの事やその思い出がある日本晴を、我々が神山で再び育て、それが日本酒の原材料にすることで、それぞれの記憶が思い出される日本酒になるのではないかと私は考えています。また、「神山の味2017」の米麹づくりでお世話になった三芳菊酒造さんからは、「自分たちも日本晴100%の日本酒を作っていて、飯米の中でも日本酒づくりに合ったお米なんです」とお話を聞かせていただきました。
日本酒と言えば、もちろん酒米で作るのが一般的ですが、今ある設備や農機具を生かして日本酒づくりをするためには、酒米ではなく、飯米を使ったほうがいいのではないかと思っています。それは、「神山の味」という日本酒が、地域のみんなに育てられていくものだからです。将来的には、神山の誰もが米のつくり手として、参加できるようにし、「地域の日本酒」として、より魅力的で、みんなにとって身近な物になっていくのでは、と考えています。そう考えると、酒米ではなく、誰もがすぐに始めることのできる飯米(日本晴)は、日本酒を地域のみんなで育てていくプロジェクトには、もってこいの品種だと思います。
そして、我々だけでは、どうしても生産の限界があるので、神山の小さなお米のつくり手が皆で参加することによって、「少しだけつくる」という日本酒プロジェクトの大きな壁をみんなで乗り越えられる可能性があるのではないでしょうか。
また、この取り組みが育っていくことによって、日本酒を一緒に作ってくれる小さなつくり手が増えれば、神山の米作りが少しでも受け継がれていく、そんな可能性もあるので?とも同時に考えています。フードハブ・プロジェクトの目的である、「神山の農業を次の世代につなぐ」ことにも繋がって行く取り組みになっていくと思います。
小さいものと、小さいものをつなぐ
小さなお米のつくり手と、日本酒を飲む地域の人をつなぐ「神山の味」
お米づくりをする人の顔や思いを感じることできる、飲んでくれる人の事を思いながら作ることができる日本酒。
そんな仕組みづくりをやっていく、まず第一歩として、つなぐ農園では2回目の日本酒用の米作りをスタートさせました。
鬼籠野川東と神領上角にてお米づくりをしていますので、ご興味がある方は是非お声がけください。自分の所でも田んぼが少し空いているから、少しだけど一緒に作ってみようかな、と思う方も是非お声がけください。