マダガスカルから帰国して:高橋琢哉
vol. 19 2017-09-18 0
音楽監督の高橋です。8月26日から出国までいた、マダガスカル最後の滞在地であるアンタナナリヴでは念願の熱いシャワーも(1ヶ月のマダガスカル滞在中に数回でしたね)あり、それまでより多少は落ち着いて亀井監督、小野里撮影監督とこの1ヶ月の楽しかったこと、美しかった風景、豪雨、悪路、スタッフの熱意、料理やそこに混じっていた砂利、怪我、あのシーンこのシーンなどと振り返りつつ、この先どういう映画に仕上げてゆくかを話しあう時間がとれました。これからが次のステップ、勝負だよな、という当たり前の話はお互いたくさん出るものの、終盤で熱いシャワーを浴びてスッキリしたとしてもやはりまだ旅の最中。次のことを話すのは難しかったろうなと今になって思います。
旅、とたいそうな言葉で言っても1ヶ月ですが、それでもやはり知らない土地、知らない日常を送る人々と出会って交わる時間というのはあらためて思いますが、得難いものです。そんな状況で冷静に判断しながら滞在するというのは、自分ではやっているつもりでも、まあたいがいトンチンカンで全然できていないもので、帰国してある程度の時間が経ってから振り返らないと見えてこないモノやコトがたくさんあるだろうという見当は最初からありましたが、いま9月も半ばになってまさにそんな時間の渦中を過ごしています。
ではこの2週間と少しの間なにをやってたのかと言いますと、アンタナリヴで買って帰ってきた5〜6枚のCDや、帰国後入手したマダガスカル各地の音楽が記録されている様々な音源を聴き込んだり、国会図書館に行ってマダガスカルの歴史や19世紀の記録文などを読んだりしてます。この時間が映画の音楽にどうつながって、どうなるのかはまだまだ未知ではありますが、直線で一気には進めない場所(映画の完成)へ、大きく遠回りをしながらも進んでいる実感は充分にあります。
アンタナリヴで偶然観れたヒラガシのライブ会場。ロケ地だった南東部とは全く違う、アンタナリヴ周辺のメリナ族の伝統音楽。