プロダクションメンバーに聞く!『消しゴム山』のここが面白い!〜スタッフ編〜
vol. 2 2024-04-20 0
こんにちは!
2019年に京都国際舞台芸術祭KYOTO EXPERIMENTにて世界初演を迎えた『消しゴム山』
3年ぶりの東京公演が2024年6月7日(金)〜9日(日)に世田谷パブリックシアターにて開催されます。
本作は劇場版『消しゴム山』、美術館版『消しゴム森』という二つのバージョンからなる演劇作品です。その後もモノのための空間である美術館での『消しゴム森』は、劇場版『消しゴム山』とは全く違った体験を生み出しました。プロジェクトはさらに、コロナ禍で始まった日常空間版『消しゴム畑』をはじめ、書籍版『消しゴム石』、小説版『消しゴム式』、音楽イベントでのパフォーマンス『消しゴム草』と、様々に形を変えて展開し続けています。
本日は2019年の初演クリエーション時から共に「消しゴム」プロジェクトを創り上げてきたプロダクションメンバーに、『消しゴム山』の魅力について改めて聞いてみました!
今回はスタッフ編。『消しゴム山』は様々なスタッフの技術とクリエイティビティによって、コンセプトをより深化させています。
クラウドファンディングでは達成状況によって次世代の舞台芸術界を担う若者向けゲネプロ招待を実施。将来、舞台芸術業界で活動をしていきたい学生および現在、舞台芸術業界で活動をしている10〜20代の若者を対象にゲネプロにご招待、スタッフによるバックステージツアーを実施します。実現に向けて皆様の温かいご支援をお願いいたします。
衣装 藤谷香子
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
『消しゴム山』では俳優はヒトであり、モノの存在をはっきりとさせる存在であり、モノのための演劇を成立させる重要な登場人物です。街を歩いている(かつオモチャのような印象の)人の服、人ではないカタチの服、制服のような印象の服を着替えることでその時々のモノとの距離を図っています。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
『消しゴム山』は、観ている自分自身の現在の状態についての問い合わせが起こる作品です。ヒトではないモノを真ん中に置くと見えるもの。その場所や時間にふさわしい服を着用するヒトの服は全て制服のように見えるし、想像できないこと、したことのないものを想像するチャンスでもある。
照明 髙田政義
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
普段皆さんはおそらく、劇場には作品を「観に」行くのではないかと思います。 だけどそのからだの使い方、一旦忘れてみるのも面白いものです。 『消しゴム山』を観るのではなく、あなた自身を『消しゴム山』に転がしてみて下さい。目の前に広がる景色の中にはあなたも含まれてるんです
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
久々の『消しゴム山』登山。 あの日この山に登ってからというもの、僕の日常の景色はがやがや賑やかになりました。そして僕の心は妙に静かになりました。 言葉にするとなんだか恥ずかしいけどそうなりました。
日常の、歴史の、未来の、場所も時間もどこをどう切り取っても『消しゴム山』。あなたも『消しゴム山』なので是非お越し下さい。
音響 中原楽
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
この作品の全ての音やノイズに録音された音はなく、舞台上に無数に設置されたマイクで集音、その場で調整・拡声しています。当然のように毎公演、音は変化します。わたしたちのコントロール下にないゆらぎを感じ、また機械の音を巨大化することで我々人間のサイズ感もバグる。その感覚をぜひ劇場で体感してください。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
消しゴムシリーズはコロナで中止になった数多くの公演があり、ツアーで作品を育てるというプロセスが困難になった中、あらゆる形に進化を遂げましたが、とにかく全ての原点であるこの「消しゴム山」を観てもらいたいです。
映像 山田晋平
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
「時間のレクチャー」というシーンが私のお気に入りですが、楽しみ方としては、もし眠れるようなら、眠ってしまっても良いかもしれません。なんでこんなことを書くのか、見ればわかってもらえると思いますので、お楽しみに!
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
「極北」という言葉が、『消しゴム山』のことを思い出すと頭に浮かびます。これより北に行けないところ。寒そうです。普通には暮らせない、人の生き死に全く最適化されていない場所。「消しゴム山」が、今も変わらず同じくらい極北だといいんですが。
技術監督 鈴木康郎
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
私は舞台の仕事をしていながらも、演劇自体はあまり好きではありませんが、チェルフィッチュの仕事は大好きです。それはチェルフィッチュが演劇ではなく、現代社会を切り取るコンテンポラリーアートだからなんだと思います。そんなのが観たい方には絶対おすすめです。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
この作品の初演は世界でコロナ禍が始まる数ヶ月前。あまりに奇妙な作品なので、当時は作品について私自身がよく理解できていない部分が正直多かったです。しかし、あの社会生活の空白の時間を経験した私たちは、この作品を素直に腹落ちさせることができるのかもしれません。それが楽しみです。
舞台監督 湯山千景
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
同じようで、毎回更新されている美術のアイテムたち。色味も雰囲気も少しずつ違うのでその時その場所での味のある美術になっているところ。 そしてそれらとすんなり半透明化する俳優の皆さん。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
個人的感想なのですが、初演時の2019年はとても前衛的でチャレンジな作品だと思っていたものがコロナを経た2021年の東京での再演時には、日常的というか、これが当たり前になっているという感覚を感じました。それから3年経った2024年はどう感じることができるのか楽しみです。
舞台監督 川上大二郎
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
私にとって、この作品の美術の面白さは 時折紛れ込んでいる、自然を表す要素です。 流木であったり、こう噴水のようにはなっていますが水が 湧き出ていたり、風が吹いていたり、 モノがモノ然としていることを際立たせるのに 自然が紛れ込むことが、とてもいいなーと思っています。 でも、真夏に音が不意に無くなる時みたいに、いきなり怖く感じることもあります。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
『消しゴム山』、今回の上演会場である世田谷パブリックシアターは客席の天井が青空になっています。 限りある舞台装置と空ですが、どこまでも無限に広がっていると想像してご覧いただければ、より面白いのではないでしょうか? 想像の中で孤独を感じて、現実に帰ってきて人とご飯に行くといつもより体温を感じるかもしれません。 そうなればいいなと思いながら参加させていただきます。
演出助手 和田ながら
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
初演から時が経ってもアクチュアルに響くテキスト。憧れの尽きない、俳優と美術の関係。大胆かつこまやかなスタッフワーク。終演したときに感じる時間の手触り。などなど。ぜひ、ずずいと、マニアックに、とことん、味わっていただきたいです。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
またこの作品に立ち会えるなんて、と、いまは静かに興奮しています。「消しゴム」スピリットをふたたび呼び起こし、モノに向けている日々のまなざしを研ぎなおして、じっくりそなえたいと思います。
プロデューサー 水野恵美
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
「私」とは全く異なるパースペクティヴで世界を捉えてみることの、面白さと難しさ。普段の生活の中ではなかなか持ち得ない視点がそこかしこに広がっていると思います!
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
なぜクラウドファンディングで支援を募って『消しゴム山』を再演するのか。それはぜひ本文をお読みいただけたらと思いますが、純粋に、この作品が今の社会の中でどう作用するのかを見たかった、とにかくこのチェルフィッチュの次なるフェーズに突入する作品をたくさんの方に観ていただきたかった、ということに尽きます。ですが、それと同時に、舞台芸術が社会に果たす役割や“公共性”への問いを巡らせもしました。そしてそれは、きっとこれからも考え続けると思います。劇場に足をお運びいただける方とも、そうではない方とも、この問いについて一緒に考えを巡らせることができたら、とても嬉しいです。
プロデューサー 黄木多美子
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
たまに宇宙の果てまで視点を飛ばしてみたり、反対に蟻の視点で舞台に入り込む想像をしてみたり。あるいは、ただただぼーっと庭なんかを眺める感覚でいるのも良いと思います。とにかく自由に楽しんでください。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
初演から5年弱も経つなんて!でもその間にあまりにも変わったこの世界では、『消しゴム山』の相変わらずの超越的な佇まいをすんなり受け入れられるのかもしれません。時間や空間への感覚が揺さぶられアップデートされる体験を、多くの方と共有できることを楽しみにしています。
広報・プロダクションマネージャー 遠藤七海
Q.1『消しゴム山』の楽しみ方/おすすめポイント
楽しみ方は様々ありますが、それらは提示されるものではなく、見つけていくもの。正解はないので、気負わずに、あなたなりの『消しゴム山』の楽しみ方を見つけてみてください。終演後には誰かと感想をシェアしたり、一人街に出て「消しゴム」モードで世界を見つめて見るのもいいかもしれません。
Q.2『消しゴム山』東京公演(2024)に向けて
私自身、この作品が再演されることをとても楽しみにしていました。他のスタッフ・キャストからも同じ熱をひしひしと感じています。そのエネルギーが『消しゴム山』のコンセプトに昇華される時、なんだかとんでもない、不思議な時間と空間が劇場に立ち現れるはずです。
いかがでしたでしょうか?
ぜひ、ご観劇の参考にしてください。
東京には行けないけれど作品を見たい!という方には、「消しゴム」のコンセプトを体現した配信映像『消しゴム山は見ている』がおすすめ。2021年東京公演時に製作された映像配信で、人間とモノ、それらを取り巻く環境とがフラットな関係で存在する世界を演劇によって体現することを目指した「消しゴム」のコンセプトをもとに、モノの視点・照明の視点など、さまざまなアングルから独自のアプローチでお届けする、劇場では体験できないもうひとつの『消しゴム山』です。
観劇前後の予習/復習にも!一部リターン含まれていますのでぜひチェックしてみてください。
映像製作にあたっての配信チームのインタビューはこちら↓
劇場体験をなぞらない映像配信—『消しゴム山は見ている』配信チームインタビュー (precog note)
次回はキャスト編、お楽しみに!