深田晃司さんより応援メッセージをいただきました!
vol. 10 2025-08-08 0
映画監督の深田晃司さんより、応援メッセージをいただきました!深田監督は、OiBokkeShiの本公演『レクリエーション葬』を過去に観劇され、その際には中日新聞に寄稿もいただいています。
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菅原直樹さんの演劇を通じておかじいこと岡田忠雄さんのお芝居を初めて見た時の衝撃は忘れられない。
舞台上でイキイキと人生を謳歌するおかじいの姿は演劇をやることと見ることの意義の両面を私たちに教えてくれる。いや、そんな教訓的な話を越えておかじいの勇姿は魅力に溢れ、私たちの心を奪うのだ。なぜなのだろう。
ドイツのベンヤミンさんによれば、写真や映像など複製技術の発達と普及が失わせたものは芸術の「アウラ」であるらしい。
それはつまり芸術の「今、ここにあるという特性」であり「時間と空間とが独特に縺れ合ってひとつになったものであって、どんなに近くにあってもはるかな、一回限りの現象」であるそうだ。
うーん、分かるような分からないような話であるが、言われてみればそれはまさに演劇という芸術の持つ無二の魅力であるし、舞台上で惜しみなく生を発散するおかじいに横溢するパワーの正体である気がするのだ。
そんなおかじいの強烈な「アウラ」を、ドキュメンタリーという「複製芸術」がどこまで救い取れるのか、それはそれでとんでもない挑戦であることは間違いない。
もちろんある種の礼拝のように舞台に足を運んでおかじいとその演劇を目撃するに越したことはないだろうが、そのようにしておかじいに魅せられた大野諭史さんの回し続けるカメラの情熱が、そこに一握の「アウラ」を映しこむのではないかと期待しています。
深田晃司(映画監督)
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