【脇役スターを命のある限り】菅原直樹さんからメッセージをいただきました!
vol. 3 2025-07-16 0
この映画におけるもう一人の主人公・OiBokkeShi代表の菅原直樹さんより、岡田さんが78歳の時に書いたという過去の新聞投稿「脇役スターを命のある限り」の文章と共に、プロジェクトへのあたたかいメッセージをいただきました。どうぞお読みください。
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ご支援いただいた皆さん、本当にありがとうございます!
岡田忠雄さんのドキュメンタリー映画を制作するということで、とてもワクワクしています。
岡田さんは定年退職後、今村昌平監督の『黒い雨』にエキストラで出演をしたことをきっかけに、子どもの頃から憧れてきた映画俳優としての活動を始めました。
写真は、岡田さんが78歳のときに新聞に投稿した投書です。なぜ肩書きが「フリーライター」なのかはさておき、最後の一文が心に響きます。
「夢は追い続けてこそ、実現するものですね」
岡田さんは88歳からOiBokkeShiの活動に参加し、看板俳優として数々の作品に出演してきました。99歳になり、介護が必要になった今もなお、舞台に立ち続けます。好きだったタバコをやめても、愛する奥さんを見送っても、住み慣れた家での生活が難しくなっても、岡田さんは舞台に立ち続けます。
部屋には、今村昌平監督から贈られた色紙が飾られています。そこにはこう書かれています。
「狂気の旅に出た」
岡田さんは、当初はこの言葉の意味がわからなかったそうですが、OiBokkeShiの活動に参加し、歳を重ねる中でその意味がわかってきたと言います。まさに今、私たちはその“旅”の途上にいるのです。岡田さんとOiBokkeShiの“狂気の旅”を、映画という形で多くの方々に届けたい。歳をとり、病気や障害を抱えると、これまでできたことが難しくなり、やがて「できること」すら「できない」と決めつけて、さまざまなことを諦めてしまいがちです。
しかし、そういった決めつけや諦めをくつがえす力があります。何かは人それぞれですが、岡田さんにとって、それが「舞台」でした。
この映画が、これからの超高齢社会で多くの方々を元気づけるものになると信じています。
皆さん、どうぞご支援のほど、よろしくお願いいたします。
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photo:草加和輝
菅原直樹 | Sugawara Naoki
1983年栃木県宇都宮生まれ。桜美林大学文学部総合文化学科卒。劇作家、演出家、俳優、介護福祉士。「老いと演劇」OiBokkeShi主宰。四国学院大学非常勤講師、美作大学短期大学部非常勤講師。平田オリザが主宰する青年団に俳優として所属。
小劇場を中心に、前田司郎、松井周、多田淳之介、柴幸男、神里雄大の作品などに出演する。2010年より特別養護老人ホームの介護職員として勤務。2012年、東日本大震災を機に岡山県に移住。2014年「老いと演劇」OiBokkeShiを岡山県和気町にて設立し、演劇活動を再開。並行して、認知症ケアに演劇的手法を活用した「老いと演劇のワークショップ」を全国各地で展開。2016年より活動拠点を岡山県奈義町に移す。さいたまゴールド・シアターと共同し制作した『よみちにひはくれない 浦和バージョン』(2018年/世界ゴールド祭)、OiBokkeShi×三重県文化会館「介護を楽しむ」「明るく老いる」アートプロジェクト(2017年~)など、劇団外でのプロジェクト、招聘公演も多数実施している。
平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣賞新人賞(芸術振興部門)受賞。令和元年度(第20回)岡山芸術文化賞準グランプリ受賞。奈義町文化功労賞受賞。2019年度(第1回)福武教育文化賞受賞。令和4年度(第23回)岡山芸術文化賞準グランプリ受賞。令和4年度(第81回)山陽新聞奨励賞(社会部門)受賞。第68回岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネート。令和6年度(第25回)岡山芸術文化賞グランプリ受賞。セゾン文化財団2025年度セゾン・フェローⅡ。
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