展覧会風景−2
vol. 13 2019-06-29 0
コレクターの皆様
エゴイメ・クレクティヴのクラウドファンディング担当の一条美由紀です。
引き続き展覧会風景です。
前々回と重複する作品もありますが、会場を見てまわるような感じで紹介したいので、
改めて同じ作家も紹介させていただきます。
カリン・ピサリコヴァ《Apollo and Daphne》
カリン・ピサリコヴァ《Apollo and Daphne》
ギリシア神話のなかで、太陽神アポロはニンフのダフネーを追いかけ、ついにアポロは河のそばまで ダフネーを追いつめたが、ダフネーはアポロンの求愛から逃れるために、河の神である父に自らの身 を変える事を願い、ダフネーの体は植物 ( 月桂樹 ) に変わった。私はこの神話からヴィジュアルなイ ンスピレーションを得て、神話の内容を逆方向にして、自然(樹木)から文明(人間)への逃避にし てみた。私の身体の物質性から概念の世界へと逃れるように。特に病気や薬物使用、妊娠など、普通 でない状態のときには、自分の心は身体の状況に支配され、両者は不可分 ( 一体 ) となる。永遠に自 分の身体から逃れられないことが、すべての基準となるのだ。
綿引展子《家族の肖像 C+M-2》《家族の肖像 C+P》
綿引展子《家族の肖像 C+M-2》《家族の肖像 C+P》
《家族の肖像》シリーズは、国の違う同士のカップルから古着を提供してもらい、それを混ぜこぜにして再構成した作品。古着はそれぞれ個人の面影を色濃く持っている。その古着を利用してポートレ イトとして制作する。文化の違いを保ちながら共に暮らす外国人同士のカップルのポートレイトが、 個人を通して文化の多様性を見せくれる。
松下誠子《革命前夜-枕》
松下誠子《革命前夜》
《革命前夜》wax は社会と個人を隔てるもの、内部で暖められた個人的なるものが社会に逆流して晒されること。その防衛と湧出と闘争を表している。慈愛のクチバシで武装して世界(社会)に向かう。
《革命前夜-枕》羽のブランケットは日常の中での疎外や苦境にさらされた人をくるみ護る。枕の中は制度から外れた「赦された庭」となって魂の熟成を育む。
来場者には子供や学生、外国人の方々も多く、色々質問されることもありました。
ひらいゆう《Entre Chien et Loup -フタアカリ》
ひらいゆう《Entre Chien et Loup -フタアカリ》
夕暮れの残光が消えかかる頃、家の中には明かりが灯り始める。この二つの内と外の光が交わる時をフタアカリと呼ぶ。家の中に赤ランプを灯し、外の青い空気と遊ばせる。 赤は、内的世界、夢、記憶。青は、現実、宇宙、未知。フタアカリの時刻、赤と青の世界の境界が溶 け出す。そして、私は自由を取り戻す...幼児の頃のような。
*Entre Chien et Loup: フランス語で、犬 (Chien) か狼 (Loup) か見分けがつかなくなる夕暮れ時の意 味
松下誠子+一条美由紀《食祭》ビデオ映像
「食する」ことはヒトが生きるうえで他者との関わりあいを避けられないことと同じく、人間にとって基本的な行為であり、共生と敵対という両極性を示している。また着用しているパラフィン紙の衣 服は、幼児が自我を確立する以前の状態を表している。内なるものと外なるものからの必然に基づい て発展してきた「食する」行為を通して、内戦や干ばつで食を失う難民と富める国の国民、マイノリ ティとマジョリティ、女性と食の関わりといった問いを投げかける。
手前 松下誠子 パフォーマンス&インタビュー「セキュリティ・ブランケット」で使われたパラフィンドレス
奥 松下誠子+一条美由紀《食祭》ビデオ映像
以上です。
皆様のおかげで充実した内容となった展覧会もあと2日です。最後までお見守りください。
よろしくお願いいたします。
東京都美術館ホームページ:https://www.tobikan.jp
エゴイメ・コレクティヴホームページ:https://egoeimaicollective.tumblr.com
一条美由紀 及び
エゴイメメンバー 一同