【連載コラム】ダルク撮影記②(監督:中沢一郎)
vol. 8 2026-04-29 0
ドキュメンタリー映画『ボーン・アゲイン 薬物依存症と生きる(仮)』監督の中沢一郎が、2004年から始めた映画撮影について振り返る連載コラム「ダルク撮影記②」をお届けします。
【連載コラム】ダルク撮影記②(監督:中沢一郎)
ダルク創設者の近藤恒夫さんは本当に面白い人でした。
1941年秋田で生まれた近藤さんは長距離フェリーで働いていた頃、覚せい剤を使い始め、その後逮捕。母親の老後資金を使い果たすほどの重度の薬物依存症者だったといいます。1985年、日本初の当事者による薬物依存症のリハビリ施設ダルクをつくります。今でこそ依存症という言葉は一般的になっていますが、当時、日本はバブル前夜と言われていた頃。「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」というテレビCMが流れ、「覚せい剤追放キャンペーン」が行われていた時代です。そんな中、近藤さんは本名で顔を出して「薬物依存症は病気であり、犯罪として取り締まるのではなく、治療が必要だ」と訴え続けたのです。それはやがて、一般社会とは逆の価値観をつくり出していくことになります。
“負こそ正の力なり”。
近藤さんの大切な言葉です。近藤さんやダルク、薬物依存症を表している言葉だと思います。例えば今の社会では、覚せい剤を使っていたことや、刑務所に入っていたこと、精神病院に入院していたなどのマイナスの要素は、社会で言っても誰も褒めてくれないし、言う事自体はばかれます。しかし、ダルクの中や薬物依存症を伝えていく活動の中では、こうした薬物使用や、刑務所に入ったこと、精神病院に入院した経験などがとても役に立つと言うのです。一般的には考えるとマイナスの要素ですが、実際に経験した者にしか伝えられないことがあるのです。ダルクでの仲間へのアドバイスや、学校などでの講演でもそうした経験が生かされ説得力のある言葉になると言います。
こうして、“負こそ正の力なり”という考えがつくられ、少しづつ広まっていったのです。(③に続く)
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