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人形作家・土井典の評伝発行をクラウドファンディングで実現!
澁澤龍彦の注文により球体関節人形の先駆者となった土井典。一方で際どいメイクの肥満体の人形に、女性自身による肯定的な身体表現を託しました。没後約8年。時代に先駆けた異端の女性人形作家の孤独に迫り、再評価する本を作ります。
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DFJプレスの羽関チエコです。 DFJプレスの名は、私が1994年から2007年まで編集発行していた創作人形の情報誌『DOLL FORUM JAPAN』(通称「DFJ」)に由来しています。 「DFJ」では人形という表現媒体についてあらゆる方面から取材、考察を試みました。当時の展示リポートも残しました。 当時は印刷費が高くさらに出版の流通形態が限られていて、個人で出版を続けるのは大変でした。今はPODや流通方法の選択肢が増え、個人でも少部数出版が可能になりました。これを機に、自分たちでしか企画し得ないコンテンツを書籍化していこうと考えています。
澁澤龍彦の注文により球体関節人形の先駆者となった土井典。一方で際どいメイクの肥満体の人形に、女性自身による肯定的な身体表現を託しました。没後約8年。時代に先駆けた異端の女性人形作家の孤独に迫り、再評価する本を作ります。
皆さまのあたたかいご支援ありがとうございます。
本プロジェクトに多くの方のご賛同をいただき、早々に目標額に達することができました。皆様のお気持ちが本当に励みになります!ありがとうございます。
「資金の使い道」で書きましたように、目標額を達成しましたので、PODではなく書籍を紙で印刷するコストを捻出するため、ストレッチゴール80万円を目指すことにしました!
目標額に達することができたら;
・カラーページと本文ページの紙が異なる、印刷会社で製本した本をお届けできます。本文ページに落ち着きのある紙を使うことができます。(PODだと全ページ同じ紙になります。)
・特製オリジナルしおりをつくり、応援してくださった皆様全員にプレゼントします!
まだこのプロジェクトを知らない方も多くいらっしゃるようです。
引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします!
土井典という女性人形作家が世を去り、8年が過ぎようとしています。関係者が逝去の報を知るまで4年かかったことを考えれば、土井典は10年以上この社会との関わりがなかったことになります。
『血と薔薇』表紙の貞操帯から作家へ
生前の土井は1955年女子美術大学卒業後、マネキン会社で勤務しメイクを担当していました。新宿伊勢丹のウィンドウディスプレイの仕事で堀内誠一と出会い、堀内に誘われ澁澤龍彦編集の『血と薔薇』2号の表紙となる芦川羊子が着用する貞操帯(立木義浩撮影)を制作しました。これを機会に、澁澤龍彦や土方巽との交流がはじまり、土方の伝説的な舞台「土方巽と日本人―肉体の叛乱」(1968)で土方が装着した模造男根や、さまざまな舞踏家のための仮面など各方面からの依頼に応じました。しかし当時のメディアは「女だてら」に性的な作品を制作したことをスキャンダラスに報じ、土井はメディア不信になります。
人形制作へ
澁澤龍彦との出会いから特別注文を受けた土井はマネキン人形につづき、ハンス・ベルメールの人形のレプリカを制作します。その後、マネキン構造を応用してFRPで人形、それも球体関節人形を制作するようになりますが、独自の表現としては娼婦のような際どいメイクと衣裳をつけた肥満体の人形を発表するようになりました。寺山修司はその一体を「大山デブ子」と名付け手元に置き続けました。
「44年、土井氏の人形を愛するようになる」というキャプションとともに『新評』に掲載された澁澤龍彦氏の記事。土井典本人が保管していた切り抜きコピーより(掲載誌『別冊新評』「澁澤龍彦の世界」'73 AUTUMN 昭和48年10月 新評社発行)
寺山修司が所有した「大山デブ子」「寺山修司展」(2000年)にて
撮影DOLL FORUM JAPAN
社会の評価
土井典の作品は同時代に一定の評価を受けてはいましたが、その作品が抱える複雑な意味は必ずしも理解されなかったといえるでしょう。たとえば彼女の人形はその娼婦性、母性、少女性などを評価されたのですが、自らの人形を「愛玩拒否」の人形と呼び、少女の球体関節人形を「偽少女」と名付けたアイロニーやその複雑な表現が正当に評価されてきたとは言い難いといえます。また彼女の肥満体の人形はファット・フェミニズムの文脈で理解されることはなかったし、現在のポディポジティブ・ムーブメントの観点からもいまだ評価されているとはいえません。
「金と擬蝶」茨城県近代美術館所蔵 撮影 北村泰弘
「偽少女」展(スパンアートギャラリー 2003年)撮影 DOLL FORUM JAPAN
訃報
2020年、土井が仕事場にしていた横浜の造形会社「アント」の羽生雅則氏が消息を尋ねて初めて土井典の訃報を関係者が知るところとなりました。土井典の逝去から4年が経ってました。
土井典は往々にして無愛想な印象がありましたが、自身への評価は喜びでした。アントに土井が預けていた記録資料には、自身がとりあげられた雑誌記事や文化人との交流の記録、写真などがたくさん残されていました。
土井は2000年代はじめまで人形を扱う主要な美術展や人形展に招待されてきましたが、生涯を通じて土井典の著作は『葡萄色の乳房』(ペヨトル工房 1986)と『偽少女』(論創社 2003年)の2冊が出版されたのみです。元より自分のことはあまり語らず、メディア不信のまま活動してきた土井の業績が現時点では相応に評価されていないと感じています。
土井典は自らの女性という性を人形という身体表現を通して探求しようとしました。しかし、自身が活躍した時代は異性愛の男性中心の「エロス」が性表現の主軸でした。21世紀の現在ならばジェンダーやセクシュアリティの観点から評価されるであろう作品の性的な要素は、さまざまな誤解や偏見にさらされてきました。また美術においても創作人形においても異端であった彼女の作品はその死後、評価の場所が定まらないまま宙に浮いた状態にあります。このようにさまざまな意味でさまざまな逆説に満ちた土井典の人生と作品は、表現や性の多様性が唱えられる現在でこそ、あらためて検証され正当な評価を受けるべきであると考えています。
マリ工芸に勤務していた1970年代、ボールペンで戯れに描いたドローイング(正法地美子氏所蔵)
私たちは人知れず逝ってしまった土井典を時代の記憶として刻み、改めて評価を問いたいと思いました。そのためには、まずは土井典を論ずる評伝が必要です。それをきっかけに、土井典の仕事が再評価され、展示企画や美術館への収蔵の機会につながることになることを期待しています。2020年より、元『DOLL FORUM JAPAN』編集発行人の羽関チエコ(小川千恵子)が呼びかけ、芸術批評家の榊山裕子とともに、関係者への取材や過去資料の調査をしています。
しかし土井典と交流のあった方々の多くは故人となっているか、連絡がとりにくくなっており、土井典を深堀りできるのは今がラストチャンスだと思います。
この企画のために、土井典を追って撮影を続けた北村泰弘氏、資料を保管している(有)アントの会長である羽生雅則氏、制作をサポートしていた正法地美子氏や都賀隆宏氏の資料提供、多くの関係者の取材、横浜人形の家の長尾千斗氏の調査同行などのご協力をいただいております。
(有)アントで作業する土井典 撮影 北村泰弘
本の仕様
B5判 約200ページを予定。(カラーページ16頁予定)
このクラウドファンディングでは3000円にしています。消費税なしの本体価格です。
執筆者と発行人について
執筆 榊山裕子
この評伝の執筆は榊山裕子が担当します。榊山は芸術批評、ジェンダー・セクシュアリティ論を専門としており、なかでも日本で人気の高いハンス・ベルメールに関してジェンダー批評の観点を交えながら鋭い洞察による論考を展開しています。土井典の活躍した時代と現在との、社会や言説構造の変化を踏まえながら、土井典という女性アーティストを現在に浮かび上がらせます。
※出演動画 ガリレオX「人間にとって“人形”とは何か? 文学・美術・生活の中に息づいてきた人形たち」 12'57"から
発行人 羽関チエコ
『DOLL FORUM JAPAN』を1994年から2007年まで編集発行しました。2004年に土井典も出品した押井守監督監修の「球体関節人形展─Dolls of Innocence」(東京都現代美術館)の企画を担当。『偽少女』編集協力。現在は人形展「FANTANIMA!」「MISOROGI人形展」を企画主催するほか、今回の出版のためにDFJプレスを立ち上げました。NPO現代人形文化研究会理事長。
応援いただいた資金は、特典品制作費と本の制作費(印刷、編集とデザインの外注分)に充てさせていただきます。
今のところ、このプロジェクトは羽関と榊山のボランティアで進めているため、予算がありません。本の印刷に関しては、POD(アマゾンで必要部数しか印刷しないシステム)での出版を考えています。こちらは、本文全ページの紙質が均一となります。また、編集やデザインはプロの手を借りることができればと思っています。
もし、目標金額を達成した場合は、ストレッチゴールとして印刷会社での出版を目指します。印刷会社で出版する場合は、カラーページと本文ページを別の紙で印刷できるようになりますので、ぜひご支援をお願いいたします!
応援してくださる皆様には下記のような特典品をご用意しました。
お礼のメールは全員の方にお送りします。
ミニフォトブックと評伝の書籍を複数ご希望の方は、それぞれ複数回お申し込みいただくことになります。その他は、特典品の組み合わせのご案内となります。
1. ミニフォトブック (非売品)
1984年から土井典を撮影し続けた北村泰弘氏。土井は自分を撮られることを嫌っていました。特に制作している姿をとらえた画像は稀です。初出の画像を集めたミニフォトブックです。
カラー 24ページ 15cm x 15cm
2. 土井典評伝 書籍
『愛眼拒否の人形作家 土井典』(仮題)
このクラウドファンディングで取り組んでいる評伝です。
B5判 200ページ(カラー16ページ)の仕様を想定しています。
執筆 榊山裕子
発行 DFJプレス
取材はほぼ完了して執筆に入っています。
3. 横浜人形の家 企画展チケット+6/22㊏特別イベントご招待特典付(6/15〆切)
「土井典追悼 トークショー&舞踏公演
“人形を語る─『夜想』と『DOLL FORUM JAPAN』"
(ミニフォトブックと評伝がセットの特典となります。)
横浜人形の家で開催される「ひとはなぜ”ひとがた”をつくるのか」展で、土井典作品が展示されます(会期4月6日〜6月30日)。
6月22日(土)には特別イベント「土井典追悼 トークショー&舞踏公演 “人形を語る─『夜想』と『DOLL FORUM JAPAN』”」が開催されます。
トークショーには、このプロジェクトの羽関チエコと榊山裕子も登壇します。登壇者のミルキィ・イソベさんは『夜想』の編集やデザインで活躍。舞踏公演の小林嵯峨さんは土方巽率いるアスベスト館の舞踏手として土井典と交流がありました。
6/22㊏のイベントの前後には、企画展示室にて土井典の人形作品をご鑑賞いただけます。
また、イベントのご予約は人形の家公式よりも先行し、優先的にお申込みのご案内をいたします。(6/22㊏のイベントにご参加できない方は、別日に企画展チケットをご使用いただけます。※但し、会期中1回当日のみ有効)
特別イベント
「土井典追悼 トークショー&舞踏公演
“人形を語る─『夜想』と『DOLL FORUM JAPAN』"
会場 横浜人形の家4階 あかいくつ劇場
日時 6月22日㊏ 13:00~15:30
登壇者 ミルキィ・イソベ / 羽関チエコ / 榊山裕子
舞踏公演 小林嵯峨
4. 巻末にお名前クレジット(5/31までお申し込みの方が対象となります)
巻末に協力者としてお名前をクレジットさせていただきます。
印刷スケジュールの都合上、5/31までにお申し込みの方を対象とさせていただきます。
5. 土井典監修 ベルメール風オブジェ
(ミニフォトブック+評伝+お名前クレジットがセットの特典となります。
※クレジットは5/31までお申し込みの方)
このオブジェを制作した坂本浩昭氏と都賀隆宏氏は、生前の土井典作品の作品制作をサポートしていました。こちらは生前、二人が作家本人に意見をもらいながら原型を制作したオブジェです。
本体はポリエステル樹脂です。二人で在りし日の土井典を思いながら、シックでありながらアグレッシブな色合いに仕上げました。
塗装は一点ずつ仕上げるため、見本の色と若干違いが出ることについては予めご了承ください。
素材 ポリエステル樹脂
塗装 ウレタン塗装
原型制作 坂本浩昭 都賀隆宏
サイズ 5.5cm(w) x5.5cm(d)x 5.8cm(h)
※5/31までにこの特典品をお申し込み(お支払)完了される方は、巻末にお名前をクレジットさせていただきます。
6. 土井典仮面のレプリカ
(ミニフォトブック+評伝+お名前クレジットがセットの特典となります。
※クレジットは5/31までお申し込みの方)
横浜市にある造形会社アントは、生前の土井典が制作の拠点にしていました。晩年までここに通い、主要な作品と資料を倉庫代わりに保管したまま逝去しました。現在、作品管理は遺族よりすべてアントの羽生雅則氏に委嘱されています。
アントに保管された仮面作品のなかに、FRPに胡粉彩色を試みた初期の珍しい作品がありました。これを羽生氏とスタッフがオリジナルに忠実に複製いたしました。
ひとつひとつ直に彩色しています。着色にはアクリル塗料を使用しています。
制作 (有)アント 制作責任 羽生雅則 協力 桑田真紀
サイズ 縦約15cm 横約11cm
シリアルナンバーと製品仕様書を添付。箱入。
※5/31までにこの特典品をお申し込み(お支払)完了される方は、巻末にお名前をクレジットさせていただきます。
【参考】
今回はプロダクションファンディング(All in)での挑戦になるため、もし目標金額未達となった場合でも、不足する資金は自費で補填し、本の出版を実現します。リターンも必ずお届けしますので、ご安心ください。
本の印刷に関しては、POD(プリント・オン・デマンド)での出版を考えています。こちらは、本文全ページの紙質が均一となります。
もし、目標金額を達成した場合は、ストレッチゴールとして印刷会社での出版を目指します。印刷会社で出版する場合は、カラーページと本文ページを別の紙で印刷できるようになりますので、ぜひご支援をお願いいたします!
※この評伝は遅くとも7月までには発行したいと考えています。実行可能なスケジュールと考えていますが、万が一遅延が発生する場合は、支援者の皆様には前もってご連絡いたします。よろしくお願いいたします。
【発行遅延のお知らせ】発行を9月に延期させていただきます。(2024.6.20加筆)
詳細 https://motion-gallery.net/projects/doinori-book/updates/51233
※横浜人形の家のチケットはイベント開催日前までにお届けいたします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
土井典さんの訃報を知ることになったのは、横浜人形の家で企画をされている長尾千斗さんから「土井典さんの展示をしたいので連絡先を教えてほしい」とご相談を受けたことがきっかけでした。
それまで関係者たちは「土井典さんと連絡がとれない」といっていたのです。改めて電話をしても応答はなく、手紙の返事もありません。FAXを送ったところ、それは㈲アントの番号でした。会長の羽生雅則さんも土井さんの消息を案じていたところでした。
羽生さんが改めて連絡を試みたところ、ご主人から土井さんが4年前に亡くなられたと書かれた葉書が送られてきました。返信無用とあり、さらなる質問はできませんでした。
土井さんの逝去を確認してから、土井さんは評伝があるべき作家という思いで榊山裕子さんと取材を始めました。
しかし取材を進めると、謎にぶつかりつづけました。たとえば、生年。
美術館などの公式記録では1928年とありますが、これでは大学入学したのが25才となります。それが本当なのか、何かの誤りなのか。どちらにしても、どういう理由でその年なのか。本人もいないし縁故の方とも連絡はつかないので、正解はわかりません。
取材は、ミステリーの解明または発掘調査に似た様相を呈していきました。手がかりは土井さんが残した作品や資料。幸い、羽生さんのご協力で㈲アントに保管してあった資料や作品を何度も見せていただくことができました。
謎の解明にはいたりませんが、素材にしても制作方法にしてもマネキン職人であった土井典さんのとった方法は新しく、人形作家としては孤高の立ち位置だったことを再認識しました。
ちょうど4月から横浜人形の家で「ひとはなぜ”ひとがた"をつくるのか”」という展覧会が始まります。メインビジュアルは土井典さん。
私達は「なぜ、土井典は人形を作ったのか?」という問いを抱え、土井さんの人形を「覗きながら」この本を作っています。答えはこの評伝で、皆さまも一緒に考えてみてください。
このプロジェクトを応援いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
「人形はいつも見ていると面白くない。たまにフタを開けて覗いてみるとおもしろい」と私が言ったら、彼(種村季弘氏)は「それは男の目だ、土井さんは男の目を持っている」と言っていました。”
『土井典特集インタビュー DOLL FORUM JAPAN27号(2000年)』 撮影 北村泰弘
1000 円
1500 円
3000 円
4500 円
SOLDOUT
6500 円
SOLDOUT
10000 円
SOLDOUT
25000 円
残り4枚
50000 円