進捗のご報告 vol.18 出町座オープン日決定
vol. 18 2017-12-13 0
ご支援くださったみなさま
寒気の厳しい今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。
ようやくこのお知らせをさせていただけることになりました。
出町座のオープン日が12月28日に決定いたしました。
いささか急なお知らせとなってしまうこと、お詫び申し上げます。
上映環境の整備・調整、行政との営業許可申請手続き、内装の進行や各店舗の準備、様々なことを総合し、ようやくここまで至りました。
この日、12月28日は、映画の誕生日とも云われています。
1895年、パリのグランカフェでシネマトグラフの一般向け興行がはじめておこなわれたことにちなみます。
グランカフェ地下「インドの間」をリュミエール兄弟の父が1年間借りて、映画の興行をはじめたのです。
『工場の出口』や『列車の到着』、『水をかけられた水撒き人』など今も残る1作品1分のシネマトグラフ作品を10本映写して、集まった観客に観せる。20分ほどで1興行で、1人1フランだったとのことです。当時の1フランは今の日本円でだいたい500円くらいのようです。
12/28の初日はお客さんが33人で、収入が33フランだったそうなので、だいたい16,500円ですね。
ちなみに「インドの間」の賃料は1日30フランだったそうです。
なので場所代を引いたら1500円しかあがってませんね。人件費も出ませんね。
そんな初日だったようですが、スクリーンに映る動く映像は市民に衝撃を与え、みるみるお客が殺到することになって、1日に20分の興行を20回、朝から深夜までフル回転の営業で、最終的に5年間で15億円くらい稼いだそうです(ルイ・リュミエール談)。まじですか。
2017年の今は状況がぜんぜん違うと、もちろん分かっています。
よくよく考えると、現実を切り取った、なんてことのない風景や動きが映っているというだけで、人は最初から「映画」というものに感嘆し、病みつきになったというのは不思議なことかもしれません。人魚とか雪男とか見たこともないモノが見られたわけではないわけで。でも、そこには「現実の時間を再現すること」「現実を切り取る意匠」「現実を元にはしているがそれとは異なる次元の創出」といったことがありありと示されたがゆえに、映画はここまでのセンセーションを巻き起こしたのだと思います。リュミエール兄弟はまったく、そのことに意識的だった。
そういう意味で、志は122年前のグランカフェと直結したい気持ちです。
私たちが出町座を、日本で最初にシネマトグラフが投影された「日本映画原点の地」である元・立誠小学校から移転してスタートするのがこの日だということは、ここから新たな何かを生み出すためであると思います。
新しい何か。
それはご支援いただき、ご期待くださるみなさまと創っていくものです。
みなさま、これから、どうぞよろしくお願いいたします。
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出町座の公式サイトには、現時点で決定しているラインナップもアップします。
*今日中にラインナップページをご覧いただけるようにします。
立誠シネマでお世話になった『この世界の片隅に』もあります。
立誠シネマで毎年12月に上映してきた『FORMA』も、やります。
2017年の必見作もあり、2018年の新作もあります。
まだ載っていないものも、どんどんラインナップされていきます。
ただ、12/28のこけら落とし作品はまだ出ていません。
12/20に発表します。
この日にふさわしい作品を、ご用意します。
ご期待ください。
2017年12月13日付け京都新聞朝刊の記事