進捗のご報告 vol.12 みっつの平行世界
vol. 12 2017-09-11 0
みなさま
こんにちは、シマフィルム田中です。
クラウドファンディングのプロジェクト期間が終了し、最終的にこんなにも多くの方にご支援いただけたのだなあと、私たちはしみじみニヤニヤして…いるヒマもなく(心ではしてるんですよ、ニヤニヤ。)、日々オープン準備に勤しんでおります。
ここでは「出町座(仮)」進捗状況のお知らせが本筋ではあるのですが、今回はそれと平行して起こっていることをご紹介します。
ひとつめ。
元・立誠小学校で当方が「立誠シネマ」とともに運営していた映画のまなびや「シネマカレッジ京都」から生まれた『さよならも出来ない』が、大阪、東京、神戸と劇場公開を展開しています。
映画『さよならも出来ない』のいち場面
先日大阪は十三、第七藝術劇場さんでの1週間上映を無事に終え、ただいま東京は新宿ケイズシネマさんで上映中です。9/15(金)まで、連日19:00から。
この作品は、俳優ワークショップをおこない、講師をつとめた松野泉が監督をつとめて、ワークショップに参加した受講生とともにつくりあげた映画です。6月に立誠シネマでも1週間上映をして、とても多くの方に本作をご鑑賞いただいたことは記憶に新しいところです。
通常、ちまたで劇場公開されるあまたの商業的な映画とは大きく異なり、制作予算もきわめて少なく、職業俳優や有名なキャストは誰もいません。それでも長い時間をかけて、画面に映ること、カメラの前で芝居をすること、それを“映画作品”にいかにするのかを考えながら作った作品で、監督、スタッフ、キャストが完成後にもがんばって上映を目指し、広報も自らの手で行っています。このような形での「映画的行為」を認めてくださった劇場に呼応していただいていて(もちろん映画としての「質」を評価していただいてのことですが)、劇場公開が実現しました。
第七藝術劇場公開時の監督、スタッフ、キャスト記念写真
9/9(土)新宿ケイズシネマ初日の舞台挨拶のようす
劇場公開にあわせてリリースされたふたつのインタビュー記事をご紹介しますので、ぜひお目通しください。
◎心の境界線を見つめた映画『さよならも出来ない』第七藝術劇場にて舞台挨拶!
◎『さよならも出来ない』松野監督インタビュー by TAMA映画フォーラム実行委員会メンバーズ
京都、大阪の劇場上映は終了しましたが、東京はこの金曜まで、そして10/7(土)からは神戸・元町映画館さんで上映となります。お近くの方は、ぜひ劇場へお越しくださいませ。
『さよならも出来ない』公式サイト
http://good-bye.cinemacollege-kyoto.com/
東京・新宿ケイズシネマにて只今絶賛公開中
http://www.ks-cinema.com/
9/15(金)まで、連日19:00から上映開始
*上映後に松野監督とゲストの日替わりトークイベントあり!
http://www.ks-cinema.com/information/6603/
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ふたつめ。
数日前、ふぃっと小包が届きました。
なかを開けると、こちらが。
「二つの『この世界の片隅に』 -マンガ、アニメーションの声と動作-」
(細馬宏通・著/青土社・刊 2017年9月7日発行)
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3073
細馬宏通さんの新刊です。
こうの史代さんの原作マンガと、片渕須直監督のアニメーション映画。ふたつの『この世界の片隅に』をさまざまな(まさに細馬さんしか着眼しえないだろう)視点から論じた一大論考です。
で、これがすごいのです。webマガジン「マンバ通信」で連載されていた原稿を中心に書籍化されたのですが、このマンガ、この映画を観た人にはとりもなおさずオススメしますし、まだそのどちらにも触れ得ぬ方は、どちらかに触れたあとにこの書を読んでいただくと、もうたいへんです。わたしたちが暮らすこのファンタジーでも空想科学でもなんでもない普通の世界は、なんて豊かで愛おしいのだろうか、と唸ってしまいます。作品を世に放ち、それを受けた人がまたその作品世界を受け継いで拡張する、まさに表現・創作のレベルだけで交換されるその奇跡的な関係性にも驚きと深い感動を覚えます。しのごの書いてますが、とどのつまり、かつてないものすごい感動があなたの身に迫ってくるということです。
それで、なんでこの書籍が届いたか。
実はこのなかに、立誠シネマでおこなった片渕監督と細馬さんのトークセッションが書き起こされ、収録されているのです。このほのぼのしながらも、おそろしく微に入り細に入ったとんでもない方向に跳んでいく対談!気を抜いたら置いてけぼりをくらう…!まさに(細馬さんの言葉を借りると)ほんとにこのお二人は油断ならない…!
立誠シネマで『この世界の片隅に』上映期間中、同じ階の畳の広い部屋「自彊室(じきょうしつ)」でトークをする細馬宏通さん(左)、片渕須直監督(右)のようす。
マンバ通信の編集記者・前田さんがわざわざ東京から京都へ来てこのトークを参加者の皆さんで溢れかえる会場の中、渾身のポジショニングで録音し、多岐にわたりすぎる×細かすぎる×深すぎるおふたりのトーク内容を精査しつつ書き起こし&編集し、執念の結果原稿になったこの対談。校正のやりとりや掲載までの調整等で私もお手伝いさせていただいていたので、この書籍に収録されて紙に定着したことに、謹呈をいただいたことに、私もつい、しみじみニヤニヤしてしまいました。
ただいま、全国の書店さんで発売中です。
ぜひ、皆さんもお買い求めください!
もちろん出町座のCAVA BOOKSにも置いてもらいます!
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みっつめ。
元・立誠小学校が間もなく長期の工事に入るということで、その前に、既存の建物の状態で行われる連続文化イベントプロジェクト「ありがとう、立誠小学校」。
http://rissei.org/arigatou/
このなかで10/7〜9の3日間おこなわれる「RISSEI PROM PARTY」という催しに「共催・立誠シネマプロジェクト」として参加させていただきます。
http://rissei.org/arigatou/rissei-prom-party/
上映作品『リンダリンダリンダ』(左)、『シング・ストリート』(右)
ゲストの山下敦弘監督(左)、岸田繁さん(右)
PROM PARTYですから、卒業記念パーティーです。
映画はもちろん、音楽もあります。マーケットもあります。ダンスも出来ます。
ぜひ皆さん、タキシードとドレスでご参加ください。
*いやすみません、実際はドレスコードありませんので、ご安心のうえご参加ください。
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今回は以上です。
出町座のオープン準備とともに、こうしたことも並行しております。
出町座も、こういう「映画が生まれる場所」「言葉が生まれる場所」「たくさんの何かが生まれる場所」になるようがんばります。
オープンをお待ちいただいている間、たいへん恐縮ですが、同時にこれらの並行したものにもご注目いただければ幸いです。
では、また。
シマフィルム
田中・拝