いよいよ本の編集が大詰めを迎えました
vol. 10 2017-10-04 0
「ソング・オブ・サマー 真実のディーリアス」(エリック・フェンビー著、小町碧訳 向井大策監修 アルテスパブリッシング)が、いよいよ編集の大詰めを迎えています。
定価は、当初の予定よりも少し上がって2,400円+税となりました。
したがって、クラウドファンディングを通じて2,000円(送料込み)でご購入くださった方は、かなりのトクをしたことになります!
(それでもご支援につながっていることに違いはありません)
つい昨日、私も最終校正を通読しました。
期待していた通りの、いや期待をはるかに上回る素晴らしい書物でした。
音楽と人生との関係について、哲学的な啓示を与えてくれる、まるで小説のような本です。
作曲の過程についての記述は、やや音楽学的・専門的ではありますが、
全体としては、とても人間的なドラマです。
半身不随で失明し、痛みの発作に苦しみ、自分で歩くこともできず、車いすにかけた暮らしを余儀なくされた老ディーリアスと、それを介護し支える音楽青年フェンビー。
この二人の物語は決してきれいごとだけではなく、ときに激しい衝突をも生み出します。
根本的な考え方の違いを乗り越え、お互いがお互いを認め、共同作業へと何度も立ち向かっていくその姿は、読者に多くのことを考えさせてくれるに違いありません。
終わり近く、もう一人の英国の大作曲家エルガーがディーリアスを訪問するいきさつは、音楽史的にも極めて興味深いシーンです。
到底合わないだろうと思われていた二人が、死の間近になって初対面し、不思議に意気投合し、いつまでも語り合うのです。
「意見が違う」「趣味が違う」ということは、果たして私たちを本当に、決定的に分断してしまうものなのでしょうか?
いいえ、決してそうではありません。
音楽を分かち合うということは、もっと深い次元で、私たちが結びつき共感しうるのだということを、本書は示してくれています。
クラウドファンディングに参加できなかった方々も、
ぜひ本書を手に取ってご覧になられますよう!