「ビッグ・ファーマに対抗するには」
vol. 11 2020-09-26 0
クラウドファンディングは、残り35日となりました。これまでにご支援をいただきました皆様、本当にありがとうございます。ご支援は医療を健全化し、患者さんを、そしていつか患者になる私たち自身を救うことに繋がります。重ねて感謝申し上げます。
本日は、過去二回のデータベース作りにも尽力したワセクロメンバーのメッセージをお届けします。若者ががんばっています。彼らの将来のためにも、なにとぞご支援を賜りますようお願いいたします。
ーーー
リポーターの斉藤です。
先月、半年間の留学を終えてカナダから帰国しました。そして息つく暇もなく2018年度版の製薬マネーデータベース作成が始まりました。私がワセクロに入ってからの2年間、一番多くの費やしてきたのがこの製薬マネーデータベースです。
2019年9月、ドイツのハンブルグで開催されたGIJN主催の国際会議では、医療ガバナンス研究所の谷本哲也医師と共同で発表を行いました。GIJNとはワセクロが加盟している探査報道ジャーナリストの国際組織です。2年に一度開かれる国際会議はGIJCと呼ばれ、76カ国・184のジャーナリスト組織が各々の報道について発表し、知識を共有します。私たちの発表テーマは「製薬会社の内幕」。製薬データベースを作った動機、具体的な取材方法や存在意義について話しました。
会場に集まった世界の探査報道ジャーナリストたちは、頷きながらペンを熱心に動かしていました。特に反応が大きかったのは、データベースで判明した製薬会社から医師へのカネの流れのある特徴でした。全体の0.5%の医師が約1000万円以上のカネを受け取っていて、その多くは診療ガイドライン策定に関わりの深い医師だったのです。多くの医師はガイドラインに沿って薬を投与するため、製薬会社側にも多くのカネを注ぎ込む価値があります。その分、処方箋が歪められる可能性も上がるわけです。製薬データベースのパワーは私が思っていた以上のものでした。
同時に問題点にも気づきました。ビッグ・ファーマと呼ばれる巨大製薬会社は世界を股にかけて商売しているのにジャーナリズムの連帯は十分とは言えません。ビッグ・ファーマに対抗するには、世界中のジャーナリストがつながり合い情報を共有しなければ太刀打ちできません。
様々なセッションで何度も耳にした言葉は、「コラボレーション」。グローバル化が進む現代では、対製薬会社に限らず、様々な分野でジャーナリスト同士の連帯が必要です。
ワセクロはイギリス・ガーディアン、韓国・ニュース打破、インドネシア・テンポなど、様々な取材テーマでコラボレーションの輪を広げています。この火を絶やさないため、これからも世界に目を向け続ける所存です。
ちなみに、GIJNに加盟している日本のニュース組織はワセクロだけです。GIJNに参加していることで得られる世界のジャーナリズムの最新技術があり、日々の取材にもその知識が生かされています。しかし、ワセクロという組織もこの製薬データベースも皆さまのご寄付がなければ続けることはできません。
患者さんの自由な医者選びための希少な情報源である製薬データベースを守るため、どうか私たちと一緒に戦ってください。