応援メッセージ・あきやまみみこさん(グラフィックデザイナー)
vol. 26 2016-08-08 0
おととし一緒にアフリカに行った、あきやまみみこさんからメッセージをいただきました。ありがとうございます。!
みみこさんはアフリカの子どもたちに「はじめてのぬりえ」を持って行ってくれました。その時のエピソードです。
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2年前、桜木さんとアフリカに行く機会に恵まれました。
私は自著のぬりえ絵本を、どこかで子どもたちに手渡したいと数冊持参していましたが、それはウガンダの村で実現しました。
たくさんの村人が集まる中、小さな子どもを中心にぬりえ絵本と色鉛筆のセットを配ると、子どもたちは「え、いいの?」というような少しとまどいの表情を浮かべながらも、すぐにとびきりの笑顔を見せ、その場で絵本をパッと広げて座り込みました。
私は、ぬりえというモノのやり方を説明しようと思っていたのですが、出る幕などありません。
子どもたちは、色鉛筆の色をあれやこれやと選び、ページをパラパラとめくって、もう描き始めていました。
兄弟で家族で、フザケながら笑いながら、あるときは黙々と、ぬりえを描き進めていました。かなり長い時間、没頭していたように思います。
そこにあるもので、自ら楽しみを見出す子ども。これは万国共通なのかもしれませんね。
その集中したキラキラした瞳を目の当たりにできた事は、本当に作者冥利に尽きる出来事でした。
ぬりえ中に印象的だったのは、男の子に「好きな色は?」と訊くと、即座に「黒!」と返ってきたこと。
ぬりえにも黒が多用されていました。
日本ではあまり黒を使わないので、意外な驚きでした。
へぇ~、強くてカッコイイ色なのかなぁ。国旗にも黒が入ってるし、衣服にも黒が多いもんなぁ。
とボンヤリ思っていましたが、その夜に実感することとなりました。夜が本当に暗い、黒い、ということを。
電気も通っていないその村では、夜に人が集まる時は外での焚き火が通常です。私たちも焚き火の集会に混ぜてもらいました。しかし、途中で激しい雨が降ってきて、敢えなく焚き火は消されたのです。
すると現れたのは…闇でした。
漆黒の闇。
隣の人との距離も分からない、全くの闇。
人の気配だけがうごめく、「黒」の世界。
その中で、村人が歌い踊ってくれた『歓迎の歌』。
「黒」の空気の中で、汗や熱気だけがモワモワと伝わってきます。歌は最高潮! 最後にはお互いに奇声を上げながら、全員で踊り盛り上がりました。
忘れられない夜になりました。
今にして思えば「黒」の力もあって最高潮になったんだろうと思います。
「黒」がこんなにも威力があり、彼らにとって、自分にとっても、身近な存在だったんだと知りました。
また今夏、この「黒」の星空の下で、スクリーンを見つめる真っ黒なひとみが、いくつもいくつも輝くんだろうと想像すると、胸が熱くなります。
映画を観た体験から、世界は広いという事、また自らの世界を見出し羽ばたいていく子どもの、キッカケになることを祈ります!
『アフリカ星空映画館』、応援しています!
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あきやまみみこ(グラフィックデザイナー)
京都府生まれ。東京在住。京都芸術短期大学(現京都造形大学)デザイン学科ビジュアルデザインコース卒業。
レトロ感覚をモダンアレンジした「ぬりえ」本シリーズを多数刊行。他、書籍・雑誌の挿絵からカバーデザイン、ミュージックPVのアニメまで幅広く手がける。
<著作>『名曲のぬり絵』(講談社)『うたうぬりえ帖』シリーズ(風塵社)『童謡・唱歌ぬりえ帖』シリーズ(雲母書房)『キャサリンとヴァンデラス』(風塵社)ほか
Twitter:mimico_a