映像イベントを振り返る
vol. 6 2023-05-16 0
副センの田巻真寛です。5/16現在、50名の方々にご支援いただき、達成率78%まで来ました。大大大感謝の正拳突きです!引き続き見守っていただくとともに、100%超えを目指したいと思っています。(100%超えると手数料が半分になるのでとても大事)
Centerはこれまで音楽や地域密着型イベントなどに加え、実験的な映像のイベントも開催してきました。これは世界的に見てもかなり珍しいと思います。しかも、全世界でここでしか見ることができない内容も含まれます。という訳で、今回は映像イベントを振り返ります。
2022/12/17(土)
黒澤潤 「猫耳」 NEKO-MIMI 2Kデジタルリマスター版世界初上映
孤高の実験映画作家として知られる黒澤潤の代表的な長編第一作、『猫耳』を上映。主催は副センより若い世代の北澤氏が個人で運営する実験映画配給・上映レーベルKRAUT FILM。知られざる日本の実験映画作家の作品発掘・デジタル化や、海外作家との共同プログラムの配信などを積極的に行う稀有な存在。大事な上映の機会に鹿沼のCenterを選んでくれたことがうれしかった。
https://krautfilm.jp/
「猫耳」は1993年にロッテルダム映画祭で初めて公開され、翌年1994年に恵比寿EAST GALLERYにおいて「完璧な病室」という名の上映会で、医療用ベッドが座席として並べられた。Centerではローソクや、天井からオブジェを吊り下げ、独自の会場設営をした。こういう映画館ではできない仕掛けもオルタナティブスペースならではの面白さだと思う。黒澤監督は何と事前に開店祝いの花を送ってくださり、手土産持参で来場してくれた(恐縮)。
2023/1/11(水)
Introduction to MONO NO AWARE and Lily Jue Sheng from NY
アメリカでのフィルムを用いた実験映画製作・教育の重要な拠点であるNYの非営利団体ラボ「MONO NO AWARE」から創立者で自身もコンセプチュアルな実験映画(※)を作るSteve Cossmanと作家のLily Jue Shengが来日し、Centerにて団体の歴史を振り返るレクチャーと日本未公開の実験映画を上映した。Steveとはかれこれ10年以上の付き合い。最初はFacebookでメッセージをくれて、「タイ旅行中に8mmカメラが壊れて、これから日本に行くからカメラを貸してくれ」という、なかなか珍しい内容。それから何回か日本で会って、東京で上映を企画したり、コロナ禍でNYの窓に私の作品を展示上映してくれたり、彼のMONOの活動も次第に大きくなっていた。
http://mononoawarefilm.com/
久々に日本に来る、というのでCenterで何かやらないか?誘ったのが今回の経緯。Lilyの作品も素晴らしく、MONOが最近まで補助金無しで活動していたというのには驚いた。鹿沼も気に入り、また来るとのことなので、次回はフィルムのワークショップでもやりたい。
※Google mapを拡大し、1つ1つのピクセルをフィルムでコマ撮りした作品などめちゃくちゃカッコいい。最近はMONOや若い作家の支援が忙しく、作れていないとのこと。
2023/4/13(木)
スウェーデン・アヴァンギャルドの夜
映画プログラマーでありスウェーデンの1960年代アヴァンギャルドシーンを研究しているMartin Grennbergerを迎え、日本では知られざる60年代スウェーデンの実験映画と前衛音楽の関係を紹介。伝説の作曲家Jan Barkの実験日記映画も日本初公開。伴奏は鹿沼のアヴァンギャルド=高橋朝(ドラム、パーカッション)、宇都宮のアンビエント×インプロの名手=mora-tau(シンセ)、サックスの伊集院正之介。
Martinはその昔、私の作品に興味があってメールをくれたことから知り合った。今回は渋谷でスウェーデンの上映があるとの誘いがあり、東京にはいないがCenterという場所をやっているからから興味と時間があれば来てくれ、と返したことがこの企画の発端。(この感じ、今後も沢山ありそう笑)
Martinの講義ではスウェーデンにネオダダ、ハプニング、フルクサス、ミュージックコンクレート、フリージャズ、ニューアメリカンシネマなどが集まってきた時代の話を聞き、Janの驚異的な8mmも深く余韻が残る夜となった。1960年代に日本の前衛的な芸術の中心であった草月アートセンターとの類似性が興味深く、同時多発的に世界に前衛が波及していったとんでもない時代だったと再認識。
2泊して鹿沼を満喫し、古い町並みを大変気に入ってくれたのも嬉しい。
番外編として、鹿沼市視聴覚ライブラリーの誰も使わなくなった貴重な16mmフィルムの活用も行っている。
長くなりましたが、次のイベントを予告して今回は終わります!
2023/5/30(火)
Floris Vanhoof and Lieven Martens from Belgium
ベルギーから2人の要注目アーティストが鹿沼に来ます!Floris Vanhoofは改造した16mmフィルム映写機と自作電子楽器を持参しマルチメディアパフォーマンスを披露。Lieven Martens a.k.a Dolphins Into The Futureは、日本の秘境レーベルEM Recordsからもリリースしているエキゾ・アンビエント、ニューエイジ新世代を代表する音楽家。一夜で2人を目撃できる、絶好の機会です!!
2023/5/30(火)
開場18:30
開演19:00
予約2,000円 / 当日2,500円(1ドリンク付)
15歳以下無料
お車の方は近隣駐車場をご利用ください
出演
Floris Vanhoof
Lieven Martens (aka Dolphins Into The Future)
Floris Vanhoof
音楽、ビジュアルアート、映画のハイブリッドな形態に興味を持つ。構造映画や初期の電子音楽に触発され、インスタレーション、映画館でのパフォーマンスや音楽を制作している。また映像、光、音の境界を探るため、自ら楽器を製作する。ワークフローの透明性、ダイナミックレンジの広さから、アナログを選択することが多い。異なるメディアをつなぐことで、音から映像へ、あるいはその逆へと変換する。彼は、自分の作品が見る人にどのような効果をもたらすか興味を持っている。
www.florisvanhoof.com
Lieven Martens (aka Dolphins Into The Future)
コンセプチュアルな作曲作品や、フィールドレコーディング、アンビエント、現代音楽のはざまで揺れ動くようなライブ演奏を行う。近年はChristina VantzouやSugai Ken らとコラボレーションしている。日本のレーベル「EM Records」からリリースし、自身もエキゾチックなアンビエントレーベルEdições CNを運営する。
https://edicoescn.com/
https://edicoescn.bandcamp.com/
内容は間違いないので、絶対来てください。
引き続きご支援よろしくお願いいたします。拡散も大きな力になります。
既成の枠からはみ出す表現、メジャーなプラットフォームに乗らない実験的な表現の受け皿、東京にも世界にもない唯一の場所を目指して、Centerは進化し続けます。
副センター長 田巻 真寛