特別に全員公開!【活動日誌】撮影1日目編
vol. 8 2024-11-16 0
はじめに
本日からおよそ1か月前の10月12日と13日。2日間にわたって『カセットテープのAとB』の撮影は行われました。昼のシーンが多い本作において、日照時間の短くなるこの時期での撮影は常に時間との闘いで、やはり事前の準備をどれだけ詰められていたかが、撮影をいかに円滑に進めることができるか、結果としてどれほどのクオリティの作品を生み出すことができるかということに大きく影響していたように思います。
今回は撮影1日目、10月12日の様子を時系列でご紹介しながら、どのように撮影が行われていったか、特別にコレクター以外の皆さまにも公開するかたちでお伝えできればと考えております。今回のプロジェクトを知るきっかけ、より深く理解するきっかけになりますと幸いです。
ロケ地到着~撮影準備
控室で編み物に興じるキャストのおふたり。
撮影初日は3連休の初日。渋滞に巻き込まれながら、普段は1時間半で到着するところを、3時間かけてようやくロケ地に到着しました。到着する頃には既にお昼を過ぎていましたが、渋滞も想定したスケジュールを組んでいたために、余裕を持って撮影準備に取り掛かることができたように思います。ロケ地が監督である私の実際の祖父母宅ということもあり、両親や地元の方々のお力添えも大きく、そのおかげもあって予定から遅れることなく到着後の撮影準備から撮影まで進んでいきました。地元のお弁当屋さんにお願いしたロケ弁で腹ごしらえを済ませると、俳優部と衣装部はフィッティングとメイクに、演出部と技術部、制作部はロケハンやファーストシーンのカット割りの確認へと分かれて準備が進んでいきます。
監督としては、まずロケハンに帯同し、ファーストシーンのイメージを技術部に伝えつつ、絵コンテをベースにしたカットワークのアイデアを共有していきます。ただ、自分の頭の中にあるロケ地のイメージと実際のロケ地には多少なりともずれがあり、絵コンテのアングルだと想定していた演出効果が得られないということも珍しくありませんでした。さらに、ファーストシーンは本作において数少ない野外での撮影であり、自然光によるライティングも時間を追うごとに変わっていきます。こうした条件のもと、撮影監督に技術的なフォローもしていただきながら、撮影時点で最も演出効果が得られるであろうカットワークを確認し、技術部と制作部は機材のセッティングへ、監督を含めた演出部は衣装チェックへとうつります。
衣装やメイクは事前の衣装合わせですり合わせていたため、衣装チェックでは見た目よりも、身に着けているものに抜け漏れがないかの確認が主でした。あわせて、その後のシーンで必要な小道具の確認やセッティングも俳優部や衣装部の皆さまにお手伝いいただきながら、進めていきます。今回の撮影は、身に着けているものや部屋にさりげなく置いてあるものにもリアリティを持たせたいという気持ちから、キャストからお借りした衣装や小道具も多く、シーンごとに間違いがないよう、事前の確認を入念に行っていきます。このような細かい管理も役職を超えて行っていくのは規模の小さい自主映画ならではでしょうか。ご協力いただいた皆さまには本当に感謝しかありません。
ファーストシーンの撮影へ
段取りの様子。この自然光が肝。
各部署の準備が終わると、全員集まっての段取りとテストが始まります。段取りでは、キャストに芝居をしてもらい、シーンの流れを確認しつつ、演出意図を伝えながら演技を作っていきます。ファーストシーンはピアニストとして活躍する波瑠が帰省し、久しぶりに祖母・陽子に会うというもの。もともとは仲の良いふたりの間にも、長らく会っていないだけで何とも言えない緊張感が生まれる。そんなふたりの関係がどのようなものか、より具体的に伝えながら、芝居を作っていきます。と同時に、ロケハンで確認していたカメラワークをこのタイミングで詰めていき、最終的な画面のイメージを掴んでいきます。演出部、技術部、俳優部それぞれが納得いくところまで準備ができたら、実際にカメラを回してのテスト、そこでも問題がなければ、いよいよ本番です。ロケ地に到着してから間もないおふたりから生まれる独特の緊張感が却ってこのシーンを良くしていたように思います。仕上がりをぜひ楽しみにしていてください。
暗がり待ち~初日の撮影終わり
テストの様子。夜の屋内も雰囲気があります。
ファーストシーンの撮影が想定よりも早く終わり、日が暮れてからの撮影となる次のシーンまで時間が空くことになりました。それでも悠長にしている暇はありません。監督としては、地元メディアからの取材、次のシーンや翌日の段取りの確認、この間に進められるSE録りなどなど、時間の限られた中での撮影ということもあり、前倒しできるものはできることからひとつずつ終えていきます。こうした段取りのひとつひとつは助監督の指揮のもと、各スタッフの協力に支えながら行われ、初日の撮影も終わりへと向かっていきます。やるべきことは淡々とこなしながらも、各スタッフには周囲への気配りが感じられ、終始和やかな雰囲気で撮影は進んでいきました。
次のシーンは、私の祖父母宅、陽子の自宅での撮影です。夜になると街灯の少ないロケ地周辺は一気に暗がりへと変わり、周りから聞こえてくる音も鳥の鳴き声から虫の鳴き声へと変わっていきます。この変化が音を大切にする本作においてはとても重要で、日暮れ後の数時間に渡る撮影ののち、演出部と録音部は居残りで外から聞こえてくるベースノイズの録音を行い、初日の撮影は終了となりました。その後、宿へと移動し、翌朝早くから行われる撮影に備えます。
さいごに
今回は少しでも『カセットテープのAとB』の雰囲気を感じていただければと、コレクター以外の皆さまにもご覧いただけるかたちで撮影初日の様子をご紹介してきました。本プロジェクトは、今回のアップデートのように【活動日誌】として毎土曜日、活動の様子をコレクターの皆さま限定でご紹介しております。少しでもご賛同いただける部分がございましたら、ぜひ応援と拡散のご協力をよろしくお願いいたします。目標金額まであと少しです。