自立準備ホーム「生き直し」代表の千葉龍一さんとお話ししました!
vol. 4 2023-06-14 0
【映画「過去負う者」NEWS 】 6-14-2023 舩橋淳
映画「過去負う者」を試写でご覧いただいた、自立準備ホーム「生き直し」代表の千葉龍一さんとお話ししました。
千葉さんは大学時代に車で交通事故を起こし、助手席にいた高校時代の野球部の友人を亡くしてしまいました。執行猶予5年。「自分が生きることは許されない」と思うようになったそうですが、野球部の仲間やたくさんの友人に助けられ、社会のために働きたいと決意。新宿歌舞伎町の日本駆け込み寺で、刑務所出所者等の支援に携わりました。その経験を生かし、2018年(株)生き直しを設立。満期出所者を中心に住処を提供しています。東京、埼玉の保護観察所と連携して男性11名、女性2名を受け入れる施設で、これまで前職から合わせると150名近くを支援してきたそうです。
「罪を犯して、刑務所で服役し、刑を終えて出てきたら、金も仕事も住処もない出所者が少なくない。再スタートを、だいぶマイナスから始めなければいけないというのはおかしい。それを自己責任、自業自得というのは違う。やり直しのための最低限の環境は整えてあげたい」と千葉さん。
自立支援は6ヶ月間だけ(国が決めたルール)。その間に、出所者は自立して新しい仕事と住処を見つけなければいけません。時間は圧倒的に短いです。千葉さんによると、実際、高齢者や精神疾患を持っている出所者は、行き場も仕事も見つからないケースが多いとのこと。家も借りられず、生活保護を受けるしか無くなります。保護観察所や自立支援ホームをでても、行き場がないとホームレスとなり、再犯をして自分から刑務所に戻ろうとする人も多いといいます。自ら「刑務所に戻りたい」という層がかなり多いという現実にショックを受けました。居場所も出番もないのだから、再犯するしかないという社会に日本がなっている。
自立準備ホーム・生き直し
一方、犯罪被害者の方にとっても「自分の被害は辛いけど、加害者にはその痛みを少しでもわかってもらって、二度とやらないように変わってほしい」「刑務所に入っても、何も反省せずまた再犯を繰り返されると、めちゃくちゃ悲しい」という言葉を聞くそうです。
だからこそやり直しの環境を整えてあげれば、仕事をやりながら人生前向きに捉え直し、自分の中にある本当の問題、罪に正面から向き合ってゆくのではないか、と千葉さんは願っているそうです。
千葉さん自身、交通事故で亡くしてしまった友人の両親には毎月繰り返し、謝罪に伺ったそうです。当初は顔も見たくない、と罵倒されていたそうですが、7年間毎月通い続けた後のある日、ご遺族から「あなたの気持ちはよくわかった。もう来なくていいから」と認めてもらえたそうです。(その後も月命日はお墓詣りと、年1回はご遺族へのご挨拶は続けているとのこと)千葉さんが自立準備ホーム「生き直し」で社会のために働くようになったことを喜んでいただいているようだ、と仰りました。
映画「過去負う者」について、千葉さんは
「罪を犯した人間は、それでアウト、とするのは簡単だけど、受刑者の人生はその後もつづくんです。どんなことやっても生きて行かなければいけない。映画はそのことをとても考えさせてくれる。彼らにどう生きてほしいのか、という問題を皆さんで考える機会になってほしい」
とおっしゃってくださいました。
ぜひこの映画が、広く多くの方に見られるように活動を続けてゆこうと改めて思いました。
(舩橋淳・「過去負う者」監督)
自立準備ホーム・生き直しHP https://ikinaoshi.com/