監督インタビュー①
vol. 19 2021-07-25 0
撮影もほぼ完了!ということで撮影期間を振り返りながら、本作品『ぼくときみとそして死と』の制作について脚本・監督・俳優の3役を担う重野滉人(しげのひろと)さんにお話しを伺いました。
ー重野監督は今までどんな活動をされてこられたのでしょうか?
高校まではずっと野球をやってきました。自分には兄が2人いるのですが、一番上の兄が映画が好きで、それに付き合う感覚で映画は見てきました。
大学に入って、自分には何があるのだろう? と人生悩みはじめたときに、浴びるように映画を観た時期がありました。それで映画の世界に飛び込もうと大学を中退し、19歳の時に初めてエキストラの仕事をし始め、俳優を自分の職業にしていこうと決めました。20代はエキストラや学生、自主映画などに出演したり、といった感じですね。
3、4年前くらいから趣味の延長線上で短編やショートムービーを自分で撮り始めまして、今回、セルフプロデュースといった視点から長編映画を撮ろうと思い今に至ります。僕は脚本・監督・俳優と3役やっていますが、メインはやはり俳優なんです。なので、セルフ・プロデュースという意味合いが強いかもしれません。
ーこの作品の構想自体はいつ頃できたのでしょうか?
去年春にコロナで自粛が続いた後、秋くらいに今回出演してくれた安楽将士さんと、仲の良い女優さんと三人でカフェで話しをしていたときに、「今度は長編とりたいね」という話になり。その時は割と軽い感じで話をしていたのですが、脚本を書き進めるうちに本気で撮ろうと思うようになりました。なので、構想自体は2020年秋ごろでしょうか。
ーキャストなんかもそのころから決まっていたのでしょうか?
はい、そうですね。脚本を書き進めながら、「この役はこの人に出てもらいたいな」と思いながら書き進めていたところがあります。撮影の時期なんかも、直感的に「6月がいいな」と。
僕は直感で物事を決めることが多いんです。理屈ではなく、自分の感覚に沿っていろいろ決めていくというか・・・。
ーなるほど、確かに撮影現場での取捨選択のスピードがとても早い方だな、と思いました。感覚的な部分を大切にされているのですね。
そうなんです、言葉で道筋だって考えるよりも感覚や直感を信じていますね。
ー脚本を読みましたが、台詞が割と少ないなという印象です。この辺はキャストの方々にすぐに理解していただけた感じだったのでしょうか?
いや、自分でも余白部分が多いなと思っていましたし、キャストの方々が僕の頭にあるイメージを脚本だけで理解できるかどうかは不安でしたよ。なので、クランクイン前はロケハンやいろんな準備を進める中で、最も大切にしていたのがキャストの方とのコミュニケーションなんです。
ZOOMを使ってオンラインでの打合せや読み合わせをしたり、実際にお会いしてコミュニケーションをとってきましたが、撮影直前の時点で理解してくれたかな、という感覚が2割。8割はまだ世界観の共有ができてないんじゃないか・・・と不安でした(笑)。
特に主役の青山あおいを演じる辻夏樹さんとは衣装、人物像、シーンの解釈等々ほんとにいろんなことを話しました。彼女の人柄にもよるところが大きいのですが、たわいもない会話の中でそんな話をしていましたね。僕としては、二人でいる時間を作ること自体が自分が求めている”距離感”を作るとも思っていました。
そして、今回あおい役の恋人を演じる増田具佑さんとは脚本の1ページめから最後までみっちりファミレスで3~4時間くらい議論もしました。
あと、世界観の共有という意味で、キャストの方々には本作品と近しい世界をもつ音楽や映画について伝えてもいました。
ーなるほど、他のキャストの方々とのコミュニケーションに注力もされつつ、クランクインの時点で不安が8割だったんですね。世界観の共有のために、どんな音楽や映画をピックアップされてたのでしょうか?
音楽だと、RADWIMPSの『ブレス』と『最後の歌』。映画だとエドワード・ヤン監督の『クーリンチェ少年殺人事件』、キム・ボラ監督の『はちどり』なんかですね。エドワード・ヤン監督の作品は特にそうですね。
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お話の続きは監督インタビュー②にて。
お楽しみに!