ぼぼんぐわァ制作秘話⑤ オーディション白熱編 華のあるオジさま寺岡勝則
vol. 6 2015-09-24 0
みなさんこんにちは、『ぼぼんぐわァ』監督の成瀬です。
今回の記事も全体公開いたします。他作品の話をさせていただくので、少しでも宣伝になったらと思いまして。
9月22日に、東京渋谷にあるユーロライブにて、磯谷渚監督の『天使の欲望』を見てきました。映画美学校の卒業生で、私と同世代の監督です。
『天使の欲望』予告編
端的に言えば、痴漢狩りをする女子高生たちの欲望と葛藤の物語です。
でも、どんな映画なのか、うまいこと言葉で説明できないです。ダンスで表現した方が的確な気がします。この石を飲み込んで胃に残ったような感じはなんなんでしょう。まさに私の大好きな「安易に説明できない映画」です。本当にどうにもならない救いのない話でした。
見た直後は「ぐぐぐ?」という身体的な反応しか起きなかったんですが、24時間たってからふと、「もう一回見たい」と強烈に思いました。DVD化するようです。レンタルもされるそうなので、見かけたら是非チェックしてみてください。
当日、監督と出演者のみなさまが舞台挨拶にいらしてて、監督と話すチャンスがありましたが、逃しました。残念です。だって見た直後は、心が身動きとれなかったんですもん。
そしてこの映画には、なんと『ぼぼんぐわァ』で父親「一郎」役を熱演された寺岡勝則さんが出演なさってました!(それ目当てで見に行ったんですけどね)
主人公たちが通う田舎のお嬢様女子校の担任の先生役です。
付け入る隙なく厳しく、いやにハキハキと生徒を威圧する先生でした。絶対に生徒の話なんか聞いてくれないという絶望感すら抱くほどの頑な語調。「ごきげんよう」とお嬢様的挨拶を促す紳士は、劇画的な世界観にぴったりはまり、たいへん華がありました。
そう、寺岡勝則さんは華のある俳優です。そして、佇まいに説得力があります。「そんなヤツいねーよ!」と思わせない説得力とでも言いましょうか。現に、『天使の欲望』を見て「うわー、こんな先生いるかも」と思わされました。
『ぼぼんぐわァ』のオーディションの際、寺岡さんにたっぷりと動きをつけた演技をしていただきました。やはりそのときも、パッとその状況にはまったんですよね、寺岡さんの存在が。何もないスタジオなのに。(画像の相手役は助監督の長畑洋さん)
多分寺岡さんのお顔が整っているせいだけではないです。ちゃんと「ここにいる感」があるんです。主張の強い存在感というのとはまた違う気がします。もしかしたら世界を放浪なさったことと関係あるのかもしれません。
フラフープ・ワーク(制作秘話vol.4を参照)のときの寺岡さんの縦横無尽な動きも面白かったし、何よりこちらの変な要求に対しても、真剣に応えてくださいました。「相手の言葉をよく聞くだけでなく、わからないことは質問する」そんな姿勢を拝見し、この方となら妥協なく対話しながら映画をつくることができる!と思いました。
そしてやっぱり、寺岡さんのもつ独特の説得力が選考の決め手だったように、今になると思います。
寺岡勝則さんと映画作ると、本当に楽しいですよ!
成瀬都香