ヴォイストレーナーの富本泰成先生に伺いました
vol. 31 2021-07-23 0
皆様、いよいよこのクラウドも残すところ数日になりました。その貴重な今回は「第九」の主催団体「モーツァルト記念合唱団」のヴォイストレーナーの富本泰成さんにお話しを伺いました。
津田:富本君、長年モーツァルト記念合唱団の指導に携わって頂き、ありがとうございます。団員から、富本君のヴォイトレには絶対的な信頼があります。どんなことに気をつけて指導されているのでしょう?
富本:全てのトレーニングを納得して行って頂けるように丁寧にお話しすることを心がけています。 このテクニックの為にはこのような動きが必要で、その動きを見つける為にこのような練習が必要です、というようなことを伝えてから練習に入るようにしています。
津田:大切なのは先ずは理由付けですね。さて、テナー、カウンターテナー、他全てのパートを歌って一人で合唱を完成してしまう驚異的な富本君ですが、その境地はどのように身に付けられたのですか?意気込みやご苦労があったらお聞かせ下さい。
富本:僕自身が大学時代は(今もですが)大変な劣等生で、上手くなりたいというか、最低限歌えるようになりたいという思いで必死に勉強をしました。藁にもすがる思いで怪しげな発声器具に手を出したり、発声能力開発を謳うサロンに通ってみたり…大学卒業後は歌手としてだけではなく、ヴォイストレーナーとしての能力も仕事に必要になってきたため、さまざまなヴォイトレメソードを学びに複数の師のもとに通いました。 テナーに関しては悪癖がたくさん残っており今でも苦労していますが、勉強の結果テナー以外の音域がまあまあ成長しました(苦笑)。でも本当にやりたいのはテナーなので、まだまだ頑張りたいところです。
津田:最近の富本君のテナーも素晴らしいです。特にエヴァンゲリスト役には引き込まれます。 さて、コロナ禍にて様々なご苦労があると思います。音楽家としての苦労話があったらお聞かせ下さい。
富本:コロナ禍の直前は合唱を歌う方を対象にしたヴォイストレーニングが主な収入源になっていましたが、ほとんどの合唱団の活動が難しい状況になってしまったため、収入は激減しました。 娘が産まれて、家も購入したためお金が稼げない状況に焦りがありますね。 貯金を切り崩して生活しておりまして、最初のうちは娘と過ごす時間が取れて喜んでいましたが、そろそろ以前のようなペースでお仕事が出来なければまずい、と思っておりますので、モーツァルト記念合唱団の活動にはとても助けられています。
可愛いお嬢様と奥様との楽しいひと時
奥様も8月の「歌譜喜」のコンサートで歌われます(以下のチラシ参照)
津田:私も7団体(10回の大きなコンサート)の仕事全てを失いました。本当に不安な中この合唱団に支えられました。感謝ですね。 さて、今一緒に活動している合唱団、ピアニストの稲葉さん、津田の印象があったらお聞かせ下さい。
富本:温かく優しい方が多い合唱団だな、というように思います。 僕自身は人とのコミュニケーションがそれほど得意ではないのですが、団員の皆様が世代問わずに合唱という行為で繋がることの素晴らしさを感じます。 稽古が終わった後、皆さんが駅まで仲良く歩く後ろ姿を見るのがなんとなく好きです。
中国無錫の教会にて
津田先生も稲葉先生も合唱団の皆さまに寄り添ったご指導をなさっているように思います。 僕も見習いながら合唱団のお役に立てるように頑張ります。
津田:ありがとうございます。では、今取り組まれていることを是非PRして下さい。「歌譜喜」は楽しみにしています。 また先日ネット配信の多重録画の合唱も素晴らしかったです。
富本:僕は「アカペラを高い精度で演奏できる団体を作り、日本各地を演奏して回る」ことを目標にしてきました。 今現在「歌譜喜(混声)」「八重桜(女声)」「emulsion(男声)」の3つのグループを主宰しています。 かつて自分が感動し、音楽の道に進むきっかけになった演奏を聴かせてくれた世界中の素晴らしいアンサンブルのような演奏が出来るといいなぁ!と思っています。
8月27日には「歌譜喜」のコンサートが渋谷の大和田さくらホールで開催されます。 ぜひいらしてくださいね。絶賛発売中!
多重録音も自分の趣味として行なっております。 YouTubeなどにも上げておりますので、もしよろしければ「富本泰成」で検索してみて下さい。
津田:先日ネットで聴かせて頂きましたがそれは見事なものでした。編集技術もかなりなものと思います。これからも頑張って下さい。 コロナ禍にて合唱団の経営の厳しさは続きます。最後にモーツァルト記念合唱団への応援の言葉をお聞かせ下さい。
富本:3月の緊急事態宣言下での「モツレク」の演奏をよく成し遂げた!という感動が記憶に新しいですが、なおチャレンジを続ける津田先生、皆さまの気合が本当に素晴らしいです。 感染対策に十分に気をつけられ、関わっている皆さま全員が一つになって次の感動的なステージを作れるように願っております。
津田:お忙しい中ありがとうございました。これからも変わらぬご指導をよろしくお願い致します。
このクラウドファンディングは、こうした音楽家の皆様の一助になっています。ご支援下さった方々には本当に感謝しています。改めて御礼申し上げます。