成瀬当正さんに聞きました
vol. 23 2021-06-19 0
「第九」にご出演されるソリスト、バリトンの成瀬当正さんに伺いました。
津田:このたびは「第九」のご出演ご快諾をありがとうございます。応援メッセージをお願いします。
成瀬:千葉の地元で「第九」が歌えることが喜びです。昨年の公演中止から本年の「第九in市川 習志野公演2021」まで、長い長い1年でした。「第九」のバリトン・ソロの第一声は全人類を代表してメッセージを発しています。ずっとその気持ちを持ち続けていました。
津田:今までに津田とマタイやカンタータを演奏されてきました。一言ご感想をお願いします。
成瀬:津田先生とはBachを中心に共演しました。津田先生は研究者として作品を細部にわたり分析し、合唱や器楽を指導されていると感じています。歌も楽器も知りつくした指揮者なので「第九」は心から楽しみです。
津田:今取り組まれていることで、ご紹介されたいことをお聞かせ下さい。
成瀬:ドイツ歌曲をリサイタル形式で演奏していますが、ピアニストの大場俊一先生のプレトーク付きで「ピアニストの立場から見たドイツ歌曲」をお話ししてくださいます。これまで「冬の旅」「詩人の恋」「白鳥の歌」を取り上げました。次回はブラームス歌曲、民謡と「四つの厳粛な歌曲」を取り上げます。
津田:コロナ禍でキャンセルが続きました。その時のお気持ち、または今音楽家が直面している困難について思われていることがあればお話し下さい。
成瀬:このような災害があると真っ先に無くなるのは音楽です。しかし人々は心の奥底では音楽を求めています。コロナ禍でヒマな時間ができてしまったことを自分を見直すチャンスと思います。今回の「第九」もそうですが、演奏会は「キャンセル」ではなく「延期」がほとんどなので、コロナが収束したらキャンセルした演奏会がどっと押し寄せるでしょう。そのための準備をしています。
津田:お仕事への取り組まれる際のモチベーション、気概などございましたらお聞かせ下さい。
成瀬:会場の皆様が「聴きに来てよかった」と感じてくださる様に努めています。「自らの内面を見つめたい」という気概で音楽に取り組んでいます。今日の演奏が人生最高の演奏になるように、次の演奏は今日を超えるように、常に前へ前へ進むように心がけています。
津田:PRなどございましたらお願いします。
(一連の写真掲載は許可を頂いております)
成瀬:東日本大震災復興支援チャリティコンサートをライフワークにしています。我が家の柔道場で年数回(現在コロナでお休みしていますが)これまで17回開催しています。入場無料で、義援金のご協力をお願いしています。東日本大震災による被害は復興までに長い歳月を要するでしょう。一時的な助けではなく、長期的な支援が必要です。義援金は全額被災地に送金しています。チャリティコンサートは年に数回、完全に復興宣言がなされる日まで継続して行います。皆様、是非足を運んでみてください。コンサートホールとは違った臨場感で、しかもアットホームな雰囲気で聴くことができるでしょう。また、演奏家の皆様の出演を随時募集しております(出演料は出ません)。ジャンルは全て自由です。今後の予定は決まり次第ホームページ上に掲載します。どうぞ末永いご支援ご協力をお願いいたします。
http://br-naruse.music.coocan.jp (チャリティコンサートのページ)
津田:素朴な質問です。成瀬さんの柔道に向かわれる姿勢が好きです。生徒さんに向ける愛情や、教育に傾ける情熱をどのように培われているのでしょう。
成瀬:現在柔道五段の私は自宅道場で週三日教えています。武道も音楽も礼に始まり礼に終わり、基本は同じです。午前中柔道を教えて午後に演奏会場で歌うこともあり、また音大と音高で午後まで授業をして夜はリサイタルということもよくあります。すべて生活のリズムの中に入っているので特別なこととは思っていません。以前津田先生との「マタイ受難曲」で私が指導している生徒達がお世話になり、リピエーノ(合唱の1パート)を歌わせていただきました。生徒との共演に何よりの幸せを感じます。
子供達に音楽を♪ 苦しんでいる人々に愛を!未来に希望を!
津田:成瀬さん、このたびはインタビューへのご協力、誠にありがとうございました。