草や虫も敵としない みんなが仲間
vol. 2 2012-06-18 0
シャロムヒュッテ シャンティクティの自然農
種を採る
とってもおいしい野菜が育ったとき、「これを来年も育てたい-」と思ったことはありませんか?そんなときは自家採種。
自然農はもちろん、そうでなくても、ぜひ知っておきたい、種採りの意味とその方法。
種は買うもの?
私たちがシャロムヒュッテシャンティクティの自然農を取材するために初めて安曇野を訪れた今年の春、オーナーの臼井健二さんがまず見せてくれたのは、倉庫の中から取り出してきた、ありと あらゆる野菜の種だった。あるものは小さな封筒に、あるものはカゴの中に房のままごつそりと積まれた何種類もの種は、前年の秋に畑で採種したもの。そしてこの種を蒔いて野菜を育て、また秋に種を採って……と繰り返すのだという。
「種は買うものと思われがちだけど、自家採種した種の方が、その場所の環境に順応していて育てやすいんだよね」以来、何度も登場する種の話に、私たちは種採りの面白さを知った
F1種からシャロムの固定種へ
種には大きく分けてF1種(一代交雑種)と固定種がある。一般によく売られているのはF1種で、種袋に「00交配」などと書かれている。これらは異なる品種をかけ合わせ、両親の優れた点を受け継いだ、いわばハーフの子供〞の種で、どの地でも育てやすく均一した収穫ができる。一方、固定種は代々受け継がれ、伝えられてきた種のこと。無肥料、無農薬で自然に近い状態で育てる自然農では、日本の国定種(在来種)が一番育てやすいという。
「でも、最初はF1種だっていいんです。F1種から採れた種を蒔くと、次に生まれてくる子供は親のどの遺伝子を受け継ぐかによって、株ごとに形にも味にもバラツキが出てくる。
その中からさらに、自分が残したいと思う種を残してそれを蒔いて、と繰り返していくと、その場所の固定種ができるんです」と、自然農講師・竹内孝功さん。
種を採り続けることによって、その土地の気候や風土にも、育てる人のやり方にも、そして味の好みにも合った、オリジナルの種ができるというのだ。
「『持ち込まず、持ち出さず』 で、永続しているのが自然界の姿。だから、自然農では自家採種はごく当たり前のことなんです。その上、買ってくる種は消毒してあったり、遺伝子組 み換えしてあったり。種だって安心できるものがいいですよね」
手間をかけることの豊かさ
実は、種採りの作業は少々面倒なところがある。実がかなり大きくなるまで株のまま熟させるため、旬の季節が終わっても、しばらくはいくつかの株だけを畑に残しておかなければならない。収穫してからも、洗ったり干したりと時間も手間もかかる。
「買ってきた方がよっぽど効率がいいんです。でも、ひと手間かけることで、自給自足=『依存しない暮らし』 に近づくことができる。長い目で見ると、面倒なことが豊かさに通じるんですよね」