テクノロジーを活用している方の紹介
vol. 3 2021-10-01 0
ALSを有している方でテクノロジーを活用している事例
この方は、ALSを有していて人工呼吸器を使用し在宅療養をしている方で、約10年前に支援していました。
コミュニケーションは、文字盤というノンテク支援と、意思伝達装置の“伝の心”というハイテク支援を活用していました。
伝の心は、下の写真のように左示指(人差し指)と環指(薬指)の僅か数ミリの動きを活用して操作していました。
この機器を活用して取り組んでいたことは、日常的なコミュニケーションだけにとどまっていませんでした。知人や主治医とメールでやり取りしたり、ネットで株の取り引きをしたりしていました。株の取引はプロレベルのやり取りをされていました。
テクノロジーおよび支援に出合わなければ?
この方は、自身の取り組みたいこととテクノロジーの適合だけでなく、そのテクノロジーを生活に根付かせるところまでサポートを受けられていました。もし、この方がテクノロジーにも、支援にも出合っていなかったとしたら...?
もしかしたら、ベッドの上で何もすることがなく過ごしていたかもしれません。この方は、その時々の状況に応じて、ノンテクでコミュニケーションをとったり、ハイテクで株をしたりと取り組まれていました。
この方の支援は10数年前の話で、今現在支援するとなると、テクノロジーの発展に伴ったより良い支援ができると思います。
しかしながら、実際には、テクノロジーを活用してコミュニケーションを取ったり、株やSNSに取り組んだりできるであろう当事者の全員にその機会が与えられていない状況です。
和歌山県は南へ行けば行くほど医療資源も少なくなってしまい、神経難病や重度の障害のある方々がテクノロジーと出合うこと、支援を受けることの機会が少なくなっています。
現在は公的な支援が受けられる意思伝達装置だけでなく、iPadなどの一般品の活用により生活が拡大する方々もたくさんいます。その分、現在の社会保障という枠組みだけでは対応しきれないことも多いと思います。
本プロジェクトを通して、当事者だけでなく、支援者も含めて、テクノロジーの活用を知り、体験できる良い機会となるように取り組んでいきたいと考えています。