起業・本プロジェクトを後押ししてくれた八雲病院への見学
vol. 2 2021-09-22 0
私が、障害のある方々へテクノロジーを活用した通して地域共生社会の一助となりたいという思いに至ったできごとをこれから何回かに分けて紹介したいと思います。写真の使用は了承を得ています。
八雲病院への見学を通して(現:北海道医療センター)
この事業を始める背中を押してくれた出来事があります。それが、2019年10月の八雲病院への見学でした。私がいつも支援の参考にしている“ひらけごま”(※)というサイトを運営しているこの病院に単身で飛び込み、その取り組みを見せていただきました。
筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症を有する方々が入院して生活している本病院では、人工呼吸器、電動車いすなど様々な機器を使用している方や四肢に重度の障害を有している方など、さまざまな当事者がいました。その当事者の方々は、ずっとベッドに寝ているわけではなく、作業療法室に颯爽と現れ、それぞれがさまざまな活動に取り組んでいきます。ある方は3Dプリンターのモデリングを、ある方はグループでオンラインゲーム、ある方はテレワークをして、と本当にさまざま。当事者間で主体的に課題に取り組んだり、グループで目標を立てたりする、自律的な活動が印象的でした。(※)HP:ひらけごま(当事者発信の困りごとへ工夫や取り組みを紹介)
写真:わずかな指の動きでパソコン操作、唇の動きでゲームコントローラー操作など工夫して活動。解決できない操作は当事者間で話し合い解決している場面も(例:ジョイスティックを回せないから、ボタン一つでその操作ができるようにプログラミングをして対応)
さらに驚いたのは、八雲病院の職員の支援。医療的ケアを必要とすることやさまざまなICT支援機器を使うことで、職員は大変なのではないかと考えていました。しかし職員は、作業療法室だけでなく、病棟生活でも機器を活用していました。彼らの生活を充実させることが当たり前のケアのようになされていることが衝撃でした。八雲病院では、支援機器を活用した活動そのものが日常だったのです。
この見学から、当事者、支援者が支援機器を活用してさまざまなことに取り組むことが日常となる地域(コミュニティー)を創りたいと思うようになりました。
生まれ育った和歌山で何ができるのか?
これまで保健所や介護支援専門員の職能団体から依頼を受けて、コミュニケーションやICT支援機器に関する研修会の講師を務めてきました。その中で、『こんな道具があったんだ。』という感想だけでなく、『支援機器で生活が変わりそうな人がいるけど、誰に相談したらいいの?』といった支援機器とそれを活用した生活の情報だけでなく、支援してもらえる資源自体の少なさを感じました。
これは、障害のある方がテクノロジーを活用することが、非日常なことと考えられます。
八雲病院だからできているのか!?そんなことは無いと思います。今の八雲病院(北海道医療センター)があるのは、当事者や職員が少しずつ取り組みながら、長年かけて作り上げてきた文化だと思っています。すぐに八雲病院のようにテクノロジーの活用が日常になることは難しいですが、まずは一歩踏み出し、和歌山県でもテクノロジーの活用が日常となる文化を作っていけると思っています。
そこで、本プロジェクトのICT相談&体験会、eスポーツ大会を通して、当事者、その家族や支援者に対して、支援機器とそれを活用して豊かになる生活の情報を一人でも多くの方に届けていきます。それと同時に、支援できる体制づくり及び人材育成にも取り組んでいきます。
将来的には、当事者が“やりたい”“やれそうかも”と思ったその瞬間を逃さずに情報を提供し支援できる地域となるように取り組んでいきたいと考えています。当事者、その家族、支援者が、テクノロジーの活用が日常となるように。
この一歩が大きく踏み出せるように、是非本プロジェクトへの応援をお願いいたします。
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以下は、北海道医療センターの方の活動の紹介です。“ひらけごま”のニュースから一部転載しています。とても興味深い記事が多数ですので、是非見てみてください。
◆ゲームは自分の世界と外の世界をつなげる架け橋。あらゆる人がプレイを通じてつながるために
記事内の動画
◆院内で当事者が発案しながら交流している一例
【マリオカート ライブ ホームサーキットを当事者が考案して楽しむ】