【応援メッセージ⑥】つなぎ美術館学芸員・楠本智郎さん
vol. 23 2022-10-24 0
熊本の津奈木町にあるつなぎ美術館の学芸員・楠本智郎さんより応援メッセージをいただきました!
遠山昇司との出会いは2011年に遡る。その後、アートプロジェクトのディレクターとして招聘し、2013年に開局した「赤崎水曜日郵便局」は津奈木町のアートによる町づくりを大きく飛躍させた。アートプロジェクトでも映画でも、個人の私的な出来事の普遍化を図ることで人々に問いを投げかけてきた遠山だが、その眼差しの先にあるのは、人間中心主義からの脱却であり、万物が互いに浸透し合う新たな社会の緩やかな構築ではないだろうか。未曾有の疫病、災害、紛争が続く世界と、そこにうごめく惨事便乗型資本主義。遠山の新作は必然とも言えるタイミングで私たちに再び何を問おうとしているのか。期待は高まるばかりだ。
楠本智郎[くすもと・ともお]
1966年福岡市生まれ。鹿児島大学大学院人文科学研究科修士課程修了。国内外の博物館や大学などでの勤務を経て、2001年からつなぎ美術館学芸員。社会教育事業としてのアートプロジェクトを考案し2008年から毎年実施。近年は地域と密接な関わりがありながらも遠ざけられてきた作家の作品の展示を試みるなど、アートと美術館の可能性を問うている。