震災から14年 “愛子さん”のこと ④復興住宅への道程
vol. 8 2024-12-15 0
石巻は、津波被害で特に大きかった地区が「災害危険区域」として居住することができなくなった。代わりに内陸部に防災集団移転地が造成された。田畑を埋め立てて土地を作るため、膨大な時間とコストがかかる。復興公営住宅が何戸必要なのかを把握するだけでも、数年を要することになった。
2017年に愛子さんは、ようやく復興公営住宅への転居が決まった。私も引っ越しの手伝いをするため石巻へ向かった。仮設住宅では支援団体からベンチの椅子をいただいていて、愛子さんは最後の住人だったので、そのベンチを復興住宅に持っていくことになった。部屋には入らなかったので、玄関を出た廊下に置いた。花も並べてちょっとした憩い空間になった。そして愛子さんは、自治会の副会長に立候補した。元気になって少しでもみんなの役に立ちたいと語った。