イベントレポート<孫崎享さん×ユンカーマン監督@HMV&BOOKS TOKYO>
vol. 12 2016-05-22 0
5/14、HMV&BOOKS TOKYOで「沖縄 うりずんの雨」DVD刊行記念イベントを行いました。
イベントの冒頭、「沖縄 うりずんの雨」<アメリカ上映版>第4部「明日へ」の上映を行い、ユンカーマン監督からアメリカ試写の反響が語られました。特に若い人たちが敏感に反応してくれ「アメリカ軍が国外でこのようなことをしているなんて知らなかった」と語り、彼らの中に正義感が湧きあがる様子が感じられたそうです。その様子から「映画を通して、アメリカ市民の中に正義感が広がると、何かが変わるのではないか」とユンカーマン監督は語られました。
孫崎享さんをお招きしてのトークでは、「在日米軍」を中心とした、日本とアメリカの戦後の関係についてお話しいただきました。孫崎さんは日米安保条約を締結される際、アメリカが最も重視した「望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留できる権利」が今なお維持され続けていると語られました。このように外国軍が居残っている日本の異常さを、ドイツを例に出され、「ドイツでは<基地の持つ軍事的な重要性よりも、基地返還による自国の利益が上回った時、返還要求ができ、米国はそれに応ずるべき>とされており、"基地撤廃"を求めることはアメリカとの関係を崩すものではない」とお話しされました。
ユンカーマン監督は「アメリカは外交という面においてある程度は(グローバリズムなどの問題はあるにせよ)平等、公平な関係を築いているのに、軍事の問題になると国務省から国防省に主導権が移ってしまう」とアメリカの問題点を指摘しました。これには孫崎さんも大いに同意され、「海兵隊の論理が国防省の論理となり、国防省の論理がホワイトハウスの論理になる」というジョージ・パッカードの言葉を紹介されました。そして、沖縄返還をめぐる日米交渉時、「”沖縄は返ってこないと思っていた” 佐藤首相に、ライシャワー駐日大使が”日本が頑張れば沖縄は返ってくる”とメッセージを送った」ことに触れ、「鳩山首相の時代に"普天間基地の県外移設"を日本全体がサポートしていれば、アメリカの論理も変えられたかもしれない」と続けられました。
イベントの後半にはノーム・チョムスキーさんとジョン・ダワーさんのインタビュー映像を上映しました。チョムスキーさんはベトナム戦争以降、現在まで続くアメリカの軍事戦略について、ジョン・ダワーさんは集団的自衛権をめぐる、日本の憲法問題について語られました。
お二人のインタビューを受け、孫崎さんは「軍国主義は"国内の状況が悪くなる"という代償とセット。日本政府はオスプレイの購入、ミサイル防衛の配備を進める一方で、国立大学の無償化や保育園の待機児童問題は予算不足のために見送られている。軍国化は無償ではない。”政治は自分ごと”という意識を持って欲しい」と語られました。ユンカーマン監督はチョムスキーさんが語られた”楽観主義”に触れ「希望を感じる動きはある。世論調査では改憲や集団的自衛権への反対が増えてきている。そういう兆候を一つづつ拾って、拡大していくことが大切」と述べられました。
チョムスキーさんの"楽観主義"についての発言を聞きながら、「沖縄 うりずんの雨」の最後に知花昌一さんが語られた「沖縄の状況を”おかしい” ”基地をなくそう”と思う人が増えれば、状況は必ず改善できると思う」という言葉を思い出しました。
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『沖縄 うりずんの雨』全米上映プロジェクト
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