「捨てるものなどはない」2022/9/2報告(その2)
vol. 17 2022-10-04 0
ご協力、応援いただくみなさま、本当にありがとうございます。
ドキュメンタリー映画『明日をへぐる』《今井友樹監督2021年作品/製作:シグロ山上徹二郎
/配給:Palabra・シグロ/ポスター画:田島征三
/ナレーション:原田美枝子/音楽:山村誠一(音楽編集:山田やーそ裕)
/音声ガイドナレーション:笠井信輔》
に記録されている高知県いの町・吾北(ごほく)。
■このプロジェクトで、『かみそノまもりがみ』の制作などにご協力いただいている
西村優子さん(造形作家/折形デザイン研究所)。
西村さんを中心に「かじがらプロジェクト」もスタートしました。
実は、西村優子さんポレポレ坐のイベントで発表されたメモ書きのスライドの中にあった言葉に、なんとなく違和感がありました。(わたし、田岡個人の受け止め方)
読み返すうちに、
「94㎏以上のカジガラは、現状は〇〇の使い方しか無い」の『しか』に、
『これしか無いの?』『これしかできないの?』や
飛躍して、『こんなこともわからないの?』『こんなこともできないの』というような、
否定的な印象を受けていたようです。(わたし、田岡個人の受け止め方)
そして、後日あらためて西村さんらと話し合い、「違和感」の原因がわかりました!
「スタート地点に立っている」か、「ゴール地点に立っている」か、の違いでした。
A「100㎏の楮から、94㎏ものかじがらができて、有効活用されていないのでは?
もったいない。94%の使い道を考えるスタートだ」(田岡が思う西村さんの受け止め方)
B「100㎏の楮から6㎏の黒皮を全力で作った。かじがらを束ねてゴールだ」(田岡の感覚)
※数字遊びをすると、
・100%のエネルギーのうち、94%の力で
楮を「6%の黒皮と94%のかじがら」にやっと分けた。
6%残った力でお風呂に入り、夕飯食べて寝て充電しよう。
明日からまた100%のエネルギーで黒皮・白皮を作ろう! そんな感じです。
・真冬、楮を一本ずつ収穫。独特の高揚感、寒気と熱に包まれた共同作業の時間。
手分けして蒸しはぎを行い、一つかみ分の黒皮を縛る。
カジガラは一抱えの束にして端をそろえて結わえる。その束を運んで積み上げる時、
「やっと、一段落!」と、心身ともにホッとします。
同時に、「黒皮にカビを発生させたらいかん!」と、自らに言い聞かせます。
天候を見つつ、数日間きちんと乾燥させることへの、細心の注意も必要です。
ほかの農作業、日常の用事、余暇等もあるので、楮100%とはいきませんが。
・50年ほど前まで、吾北など山の暮らしでは「6%の黒皮」作りが貴重な換金手段。
ほかの現金収入は、炭焼きぐらいでした。楮は、真冬の収穫・蒸しはぎの労力だけ
でなく、春から秋への作業もあります。夏草との対峙はハードワーク。
大げさに書くと、上記の100%のエネルギーが年に数十日分必要です。
・通年のもろもろの作業を通じて真冬に「100㎏の楮から、全力で6㎏の黒皮を得た」
というゴールをして、またすぐに、次のローテーションがスタートします。
・「6%の黒皮」にかけた労力(苦労)を称え、その上で、
吾北の畑の者は
→ 黒皮班(一部は白皮にする)として従来の作業をする。
手漉き職人さんらへ渡す。
・「かじがらプロジェクト」のメンバーは、
→ かじがらの可能性・あたらしい使い道を探そう!と輪を広げる。
畑、和紙、手仕事、アートなどをつなぎ、土に還る大切さを再認識する。
というようなゆるやかな『分業』ができればなぁ、という共通認識に至りました。
《おまけ ファンタジー》
「かじがらプロジェクト」が誕生する数百年前から、
楮(コウゾ、カヂノキ)の世界には
「人間を虜にするプロジェクト」がありました。
時代ごとに、まんまと魅了される人がいたそうです。
おそらく、そのリストに私たちの名も載るでしょう。
田岡重雄
◆「違和感を話し合えたことで、アップデートしてさらに進んでいけたらと思います。」(赤字訂正版添付)西村優子 ↓