これまでのこと、これからのこと(2022年5月20日)
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2022年5月20日㈮です。ご協力、心からありがとうございます。
高知県いの町の中心部は、高知市に隣接していますが、吾北(ごほく=旧吾北村)は山間部です。その中でも筒井さんのお宅は別格。
皆さまが仮に筒井さんのお宅を訪ねられたら、
「こんな山の中にお家があるの!」「楮畑はこれほど急斜面にあるの!」と驚かれるでしょう。
それは「和紙は楮の皮からできるの!紙を最初に作った人はスゴイ!」という驚きと同等かも。※和紙の原料には楮(カミソ・カジクサ)のほかに三椏(リンチョウ)、雁皮もありますが、 いずれも希少です。
【家の上の畑で、お茶の木や楮の手入れをする筒井良則さん 2022年5月18日撮影】
映画『明日をへぐる』(2021年、今井友樹監督、シグロ作品、Palabra配給)は、楮(土佐和紙の原料)を中心に山の暮らしも記録されています。
映画『絵の中のぼくの村』(1996年、田島征三原作、東陽一監督、シグロ作品)のロケ地だったご縁もあり、『明日をへぐる』のドキュメンタリー映画が完成しました。
クラウドファンディングは『明日をへぐる』の楮畑を維持する仕組み作りと、山の暮らしの状況を共有していただくために計画したものです。
楮を栽培してきた筒井さん(辰年生まれ)の家の標高は約500m。幼少期の約90年前は人家も多く、峠越えの道を人や産物などが盛んに行き来したそうです。(日本のどこの山村、漁村も大人も子どもも大勢いて、その活気は続くと誰もが信じていたと想像します)
戦争、戦後、高度成長、大量生産・消費、利便性の追及、効率重視、費用対効果などなど・・・100年の社会の変化の中でさえ、筒井さんの畑は別世界。
ただし人が手を入れられる範囲と山の姿に戻ろうとする境界は、山の方が日々優勢になっていて、ぼくらの村はどうなるのだろう、という不安もあります。(楮畑のみならず、集落が維持できないかも知れないという現実)
ご支援を通して、多くの方に土佐楮の和紙のファンになってもらいたい、同時に筒井さんら大らかな先輩方に接してもらい、魅力や価値観も共有してほしいと強く思います。
ペーパーレスの時代ですが、土佐和紙や楮の素材に触れていただき、可能なら、急斜面の楮畑で作業する足の感覚、空の色、風の強弱、小鳥や虫の声、暑さ・寒さ、雨の匂い、動物の気配、暮らしなどを感じていただきたいと思います。
■町の中心部から離れた筒井さんの楮畑へ通い、筒井さんご夫妻と話して感じることを一言で表現すれば「尊敬」です。
中心から離れているからこそ、険しい斜面の畑・土を大事にし、水を引き、道を作り、仕事に出て、家族や友人を大切にしつつ、イノシシやサル、もろもろのモノと折り合いをつけながら、工夫して丁寧に暮らして来られたと思います。
「昔は、しんどいことを苦にせんずつ、みんなぁやりよった」と教えてくれました。
またテレビで見聞きする世界情勢のことも話題に出て「全部、人間がしゆうがじゃき、しようがない」とも話していました。
そして物静かな筒井さんご夫妻の「今やれることをやる」という姿勢は、とても力強いです。
【高知県いの町(吾北)上東で、体操のあと楮をへぐる高橋寅井さんら 2022年5月15日撮影】
※この日は、土佐和紙の手漉き職人・田村寛さんからのオーダーで「六分へぐり」↑
【土佐楮をへぐった白皮はこちら】↓
高知県いの町 上東を愛する会 本プロジェクト責任者 田岡重雄