スカウトマンさながらに
vol. 8 2024-11-08 0
人の記憶って曖昧なものですよね。こうして昔のことを振り返りながら文章を書いていくと、最終的には今現在に繋がっていることだけが正規ルートとなって残り、途中色々と迷走していた頃の記憶はどこかで上書き消去されてしまうようです。
このプロジェクトも初めから西高屋の物件をストレートに見つけて構想を練り上げたわけではありませんでした。
今思い出しましたが、そういえば西高屋の前に、改装したらどうなるんだろうと考えた物件があったんです。場所は高屋町造賀(ゾウカ)。そしてプロジェクト名は『みんなの家in高屋町』というなんともほっこりした企画です。『高屋町の山奥の古民家を購入し、学生さん達と一緒にDIYして、自由に田舎暮らしを体験できるスペースを作る。』という企画案。
東広島市や学生さんの課題と弊社の持つリソースを掛け合わせた時、頭の中で「おぉ!パズルがハマった!!絶対コレは面白いよ!」と一人で興奮して、起案書①を書き上げました。
駅から車で15分圏内までが一般学生の活動領域だろうと市役所の方から教えて頂いたことで、それに見合った物件候補を検索し、もしその物件が手に入ったらこんなことをしたいな!と、完全に自分の夢だけを都度良く当て嵌めた企画書でした。その当時の経営企画会議でも、社長・部長を前に熱弁して、「この企画を進めるために、私に1500万円貸してください!!」ともうアピールしたぐらいです。振り返ると恥ずかしいものです。あのまま勢いで進めなくて良かった。絶対後悔していたことでしょう。笑
ただしこうやって妄想したことは無駄ではありませんでした。高屋町役場に初めて訪問した2023年6月、この起案書①を村瀬さんと戸田さんに熱弁したことで、私達の会社が(少なくとも目の前で語る私自身は)本気で地域貢献の為にお金を注ぎ込もうとしていることが伝わったのだと思います。
高屋出張所で村瀬さん達に今現在考えている構想を伝えた後、
「折角ですからこれから変わっていく町の様子を少しお伝えしましょう。」ということで、シャッター街と化した十字路を散策しながら、西高屋駅がどういう風に変わるのか、陸橋が出来、駅前ロータリーが拡がっていくことを聞き、タイミング良く通学中の学生の群れとも遭遇しました(ちょっと表現がサバンナの動物っぽいですかね。笑)。
時間にして20分程度でしょうか。ひと通りの散策が終わって役場に戻る為に元の道を振り返った時、私は見つけてしまったのです!!
…そう、今回の楽屋プロジェクトの舞台となっているこの建物を!!
この時の感覚は、まさに「ビビビッと来た!!」というヤツです。
「あの建物って、絶対空き家ですよね??」
「えっ!?どれのことですか?」
「いや~、あのシャッターが2つ付いている右手側の建物、ガスボンベが外されてるし。ガス無しでは生活しないと思うから、たぶん空き家だと思うんです。」
「…確かに。。。っていうかあの建物、役場の真裏じゃないですか。なんで今まで気付かなかったんだろう。」建物の周りをキョロキョロ。
「空き家になって数年経って、風景に馴染んじゃったんですよ。でもこの物件、リノベしたら絶対可愛くなりますよ!!コレはヤバい物件を見つけちゃいました!!」松本異常に興奮気味。
「えっ!?コレがですか??そういうものなんですか??全然観てる視点が違うなぁ。」
「えぇ、これはヤバいです!!理想的過ぎます!!この物件のオーナーを探しましょう。私は不動産部に登記簿を調べてもらうので、村瀬さんは地域の人にこの建物の所有者は誰なのか聞いてみてもらっても良いですか?」
「あ、はい! わかりました。聞いてみます。」
私と空き家の出逢いの日になりました。