いつかのチェコ
vol. 3 2020-02-04 0
ただ、あの石畳の街並みを歩いてみたい!
そう思いたち旅に出た、東欧・チェコ共和国。
たどり着く前に調べたのは、「こんにちは」と「ありがとう」という現地の言葉だけの旅。
プラハ市内の中心部を流れるヴルタヴァ川に浮かぶ、船のホテルを取りました。
時差ぼけもあり、到着して早々あまりの眠さに意識が朦朧としていたことを覚えています。
ホテルのすぐ傍には小さな半島があり、そこはそのまま幼稚園児の遊び場で、水鳥の鳴く声と子供たちの賑やかな声が、少しだけ眠気を飛ばしてくれました。
ここでは路面電車に乗って、街の中を行ったり来たり。
最初は街並みに圧倒され、立ち止まっては、ため息ばかりついていました。
どこまで歩いても、道に石が敷き詰めてあることに感動していました。
街並みに魅了されすぎて、滞在中体重が減少するほど歩いていました。
1日約20km!
街のスーパーも外せない。
並んでいる物も、買い物の仕方も、お金の支払い方も違う。
身をもってその土地を感じていく大切な過程です。
観光地のエリアから少し離れた路地裏にあった、cafe jericho。
程よい人通りに面した、優しい日差しの入るカフェ。
店内を見渡すと、常連と思しい人たちがそれぞれの用途でお店を利用している感じが伝わってきて、店員さんもとてもいい距離感で接してくれました。
日も暮れ出すと、街はまた表情を変えていきました。
美しい夕景のなか通りを歩き続けていると、広い道路の真ん中に簡易的な店舗が連なった通りを見つけました。
そのような店舗が、通りと通り、観光地と住宅街の狭間にあることで、それらの境界線をぼかしたり、人の動きの動線と動線を結ぶ役割を果たしているように感じられました。
そして、人の滞留する仕組みを作っていました。
歩けば歩くほど引き込まれていってしまう街並み。
やみくもに歩き回るだけでも、遥々やってきた甲斐があったなぁと思いました。
夜の時間も見てみたいと思い、数日後に改めてやって来た cafe jericho。
壁に飾ってあった作品も入れ替わり、日中の客層とは一変して、チェコビールを片手に20代の若者たちが集い、賑やかで活気のある店内でした。
同じカウンターにはお店のオーナーがいて、大工さんらしき人と楽しそうに話をしながら、店舗の内装を変える計画を立てていました。
その様子は、数年前にみんなで ruco を作りあげた時の記憶と重なり、どこか嬉しい気持ちになったものです。
気がつけば、滞在中3度も訪れてしまっていた cafe jericho。
突然やってきた店内唯一のアジア人の旅行客に対して、チェコのことやお店のことを親切に話してくれたスタッフさん。お店をとても気に入っているという気持ちはどうやら伝わったようで、はにかみながらも喜んでくれていました。
旅先ではなく「住んでいる」かのように錯覚してしまうほど、ふと出会ったお店の存在が色々な境界線をぼかしてくれる。
自分もこういう場所を作っていきたいなぁと思わせてもらえた、いつかのチェコの旅でした。