解体着工前に3次元スキャンを実施!3Dデータで『中銀カプセルタワービル』を保存。
vol. 1 2022-04-15 0
解体が始まった黒川紀章氏設計の名建築『中銀カプセルタワービル』。名建築の価値を後世に残すため、解体着工を前に、3Dデジタルアーカイブプロジェクトのメンバーで3次元計測を行いました。
中銀カプセルタワービルの記録には、ミリ単位で正確な距離を計測できるレーザースキャンのデータと、一眼レフカメラとドローンによって撮影した2万枚以上の写真データを組み合わせて、建物全体をスキャンし、実空間の情報をまるごと3次元データ化することに挑戦します。
本日は中銀カプセルタワービルの3次元スキャンの様子をご紹介します。
解体着工前の中銀カプセルタワービルで、3種の計測技法を組み合わせて3次元計測を行いました。
◆空間のデジタル記述で培ってきた技術を活用し、3種の計測を実施
(1)3次元レーザースキャン
3次元レーザースキャナーを用いて、高精度の位置測定を行い、建物の形状を立体的にスキャン。取得したデータは、座標情報を持った点の集まりによる「点群データ」と呼ばれ、点が集まって空間を立体的に形容するデータとなります。「点群データ」は、画像も同時に記録することで各点に色情報を与えています。 3次元点群データを用いることで、建物の姿をありのままに3次元情報として再現することができます。
(2)フォトグラメトリ
フォトグラメトリとは、カメラを用いて、建物をさまざまなアングルから撮影し、専用のソフトで画像を解析、統合して立体的な3Dモデルを作成する手法。少しずつ角度や位置を変えながら隣り合う写真と写真がオーバーラップするように撮影を行い、建物の経年変化や素材など、質感のある記録を行いました。
(3)ドローンによる空撮
建物の形を記録するため、ドローンによる航空測量を実施。上空や建物の周囲を、撮影範囲が重なるように写真を撮影し、つなぎ合わせることで、3次元データを生成します。高度な飛行スキルでドローンを操縦しながら、一定の密度で外観を満遍なく記録しました。
◆撮影した写真の総数は20,000枚以上。データの解析が早速始まっています。
3次元計測を終え、早速、取得したデータの確認・解析が始まり、データのやり取りや試行錯誤も含めたノウハウの交換が日々行われています。現地では4月12日より解体作業が始まり、建物は仮囲いに覆われ始めましたが、物理的な建物の解体が進む一方で、デジタル空間上では着々と生成が進んでいます。
「中銀カプセルタワービル 3D Digital Archive Project 〜計測編〜」は無事に現地での3次元計測を終えましたが、今後も「〜3Dデータ生成編〜」として、データの公開に向けたデータ解析が続いていきます。
計測手法やデータの制作など活動内容を紹介するトークセッションの開催や、支援者様限定で先行公開するコンテンツもございますので、どうぞお楽しみに!
引き続き、応援どうぞよろしくお願いいたします!
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