私は沖縄の生まれではない。今は沖縄で間借りしている格好だ。沖縄というと、やはり戦争の話が頭をもたげる。折に触れ戦争に纏わる惨劇談が耳に入って来るが、特に奥深い慈悲の念を持ち合わせていたわけではなかった。しかし心の棘として突き刺さったのは、ある朗読会だった。「逃げ惑う人々の中で母親が懸命にお乳をあげようとするが、既に亡くなっている赤ん坊。一方で赤ん坊が必死でお乳を吸おうとするが、そちらは既に母親が死んでいる。」沖縄の話だからではない。沖縄の映画製作会社だからでもない。全世界どこへ行っても、戦争はいけないおこないである。この思いが少しでも伝わってくれることを心から願う。