御礼申し上げます/加藤木 朗
vol. 25 2015-06-02 0
一般社団法人 和力 加藤木 朗
十九の頃に食べたラーメンの味が忘れられません。横浜の石川町駅近くのラーメン屋でした。店主「出前のラーメン一個でいいんだよ」料理人「あなたリャン個言ったね」。日本語と北京語で延々と言い争う客席数15席に満たない狭い店内で、無愛想に出されたラーメン。うっすらと金色のスープに麺とわずかの野菜が入ったばかりで底にひき肉がちょっぴり。今でもあれ以上のラーメンには出会っていません。
人の記憶には魔法の力があって、思い出の味や、場所、曲に恋人などは、現在のそれらを凌ぐ素晴らしさがあったような確固とした自信の様なものが伴うことがあります。舞台などはまさにこの記憶の美化の恩恵にあずかっていて、映像化することは、生でご覧いただき、その場でお客様の記憶に変換される音楽や舞踊の自在さを損なってしまうため、舞台芸能にとって、あまり幸せなことではないのではなかろうか、と今まで二の足を踏んでいました。ですが、楽器に触れる手の繊細な動き、表情の変化などは生の舞台では中々目に見えず、映像化することで確認でき、記憶の棚に入れることもできるようになります。
和力の舞台を、今まで以上に多くの地域、人々に知って頂きたいとの想いで舞台作品を映像化しようと始動致しましたクラウドファンディングへのご協力のお願いですが、おかげさまで多くの方々よりお力添えを賜りました。まだ映像作品としては形になり切っていませんのにご支援いただきましたことを、深く感謝しております。何年たっても忘れないそんな舞台を生み出せるように日々精進してまいります。映像でしか表現できない美しさをお届けできますように映像化に励んでおります。
そうそう、ゴールデンウイークに横浜で思い出のラーメン屋を探してみましたが、街並みもすっかり変わっていて見つかりませんでした。どなたか言い争ってるラーメン屋を見つけたら教えてください。