あと7日!ラストスパート!!
vol. 16 2025-11-01 0
クラファン終了まで残すところ7日となりました!
いよいよラストスパートです!たくさんの方に、お知らせできれば嬉しいです。
シェア拡散、よろしくお願いします!
今回の『平和』は、終演後、いつになくメールや手紙で劇評や感想を送ってくださる方が多く、「平和・反戦」というテーマへの反響の大きさを感じました。
その一部をご紹介します。
◆『ローマ喜劇』等の著作がある小林標様より、『平和』を10/17夜に観劇した感想を手紙で送っていただきました。一部抜粋して掲載させていただきます。
~前略~
当日の『平和』の上演を十分に楽しませていただきましたし感心もしました。この作品が持つ「反戦・平和」と言うメッセージ性は観客に十分に伝わったことと思います。まずそれを申し上げて、上演の成功をお祝いさせていただきたい。仮面劇という特質を活用して少人数の役者陣で多彩な人物を作り出せたことが成功の一原因です。それにまた、音楽も劇を盛り上げ人を楽しませる大きな要素でした。そして、現代人にとっては分かりにくい古い作品を現代化したドイツ語テキストがあったことがそれ以上にこの作の日本初上演を可能としました。このテキストを紹介してギリシア劇の価値を別の形で日本人に知らしめたうずめ劇場の功績は重大です。
ただ、原作が持つ古代ギリシアの歴史的事情の詳細の理解にまでは行かなかったかもしれません。それは難しいことです。アリストパネスのギリシア古典劇は、そのどれをとっても当時のギリシア、特にアテナイ市の現実の状況に密接に結びついているものでそれを知らずしては演劇としてその作品を楽しむことは難しい。それは私が書くまでもないことで、アリストパネス作品が過去に日本で上演されたのは多分『女の平和』だけでしょう。私はその上演を一度劇場で見ています。「反戦」という普遍的テーマを扱っていることのみならず、女性の性的ストライキという突拍子もない手段をそこに持ち込む作者一流の劇作方が、何事よりも日本人に対しての上演実現に貢献しました。
そのような特殊なアッピール性要素を含まない作品である『平和』の日本語上演は、今回のうずめ劇場の努力で初めて成し遂げられたのでした。その意義は称えられるべきであると私は強調したい。それを可能としたのは、現代人による改作です。私自身は今回の舞台を見る以外ではそのテキストの詳細は知りえない。私は原作の日本語訳(岩波書店ギリシア喜劇全集2の佐野好則氏訳)を読んだ上で出かけたので、読んだものの記憶と舞台上進行する言葉・行動とを組み合わせて理解しようと努めました。戯曲では舞台上にいると言及されてもセリフを持たない役、例えば今回の上演では「平和エイレーネ」、「春の喜び」、「秋の勤勉」とされる人物を舞台上に出して発言もさせる。また、原作ではユニゾンで発声させるコロスのセリフを個々の人物に割り振るテキストは話の成り行きを理解しやすくするものでした。『平和』というアリストパネス作品の日本初上演成功を改めてお祝いいたします。
大阪市立大学名誉教授 小林標(こばやしこずえ)
著書『ローマ喜劇』、『ラテン語の世界』など多数。今年か来年初めには新著『ローマ喜劇を読み直す』出版予定。
