残りあと3日になりました
vol. 7 2016-12-03 0
監督の坂口香津美です。
本作「海の音」は、重く厳しい病気によって、途中で、命を終えなくてはならない思春期の子どもたちと家族の愛と生を見つめる映画です。
映画を製作するにあたり、つねに私の脳裏にあったのは、今から15年ほど前に出会った沖縄の少女の姿でした。
世田谷にある国立成育医療センタ-の敷地内に併設してある、小児がんなどの病気で当センターで治療や手術を受けなくてはならない子どもたちや家族が宿泊できるドナルド・マクドナルドハウスがオープンして間もないころ、クリスマスイブの夜でした。
そこで開かれるクリスマスパーティにスタッフの一人からお招きを受けたのです。
そこで、一人の女性から声をかけられました。
当時小学6年生の小児がんで治療を続けている娘さんの母親でした。
その日から、少女とお母さんと私たちとの交流が始まりました。
その後、少女は、家族、医師、様々な人々の力を得ながら、奇跡的に病気は回復し、大学を卒業して、現在は、社会人として企業で働きながら、講演活動などを通じて病気と闘う人たちを支援しています。
少女は健康になりましたが、少女と同じ病院の入院していた仲間で、亡くなった小児がんの子どもたちもいます。
その時、知ったのは、小児がんなど重く厳しい病気になり、余命を宣告された子どもたちが家族とともに長期間滞在する「子どもホスピス」が当時、日本にはないことでした。
日本には、神経難病や心疾患、小児がんなどの厳しい病気で生命にリスクのある子どもたちが約2万人いるといわれ、その約2割は現代の医学では、治療が不可能とされています。
在宅で重い病気を抱える子どもの看護にあたる家族は、精神的、肉体的、経済的な負担の大きさに加え、24時間介護が必要なケースもあり、社会のなかで孤立しがちです。
現在、日本国内には、子どもホスピスは2カ所しかなく、全国各地での設立が求められています。
今回、私は、映画を通じて、限りある命を宣告された子供たちとその家族の現実と希望について考えてみたいと思います。
今後、子どもホスピスが全国的にひろがっていくことを願ってやみません。
私が「海の音」を作る原点にはこの思いがあります。
(映画の大要)
黄金色の稲穂が垂れる田園の道を一台の車が過ぎる。
花峰あおい(15歳)と母親の香澄がめざすのは、海辺の森にある子どもホスピス「海の音」だ。
あおいは小児がんで、手術などの治療を繰り返してきたが、医療の限界と余命を医師から宣告され、残された日々を母親の香澄と子どもホスピスで過ごしたいと考えていた。
「海の音」の院長の黒田は、元大学病院の小児科部長で多くの子どもたちの命を救って来たが、同時に、医学で子どもの命を救うことが出来ない無力感と痛恨の思いを抱えていた。
大学病院をやめて、創設したのが子どもホスピス「海の音」だった。
ウミガメが産卵する浜辺、その海沿いのホスピスで、子どもたちは海にいだかれ、限りある命の日々を過ごす。
ウミガメの上陸を待ち続けるあおい、ホスピスで同室のまひる(13歳)、瑠璃香(12歳)。
そして、ホスピスに毎朝、山羊の乳を届ける15歳の少年翔平。
3人の少女たちの、最初で最後の恋、命の旅が始まる…。
(種子島にて、スタッフ、キャストとの記念撮影)
今夏、4Kカメラでの撮影を終えた本作は、編集ポスプロ作業を経て、来年初夏に完成をめざしています。
クオリティーの高い作品として完成させるべく、このたび、モーションギャラリーにてクラウドファンディングにチャレンジしておりますが、いよいよ期限まであと3日となりました。
皆様の応援を、どうぞよろしくお願い致します。
坂口香津美