コレクターのみなさまが閲覧できるエッセイのお試し版です
vol. 6 2015-01-24 0
コレクターのみなさまへ
不定期ですが、映画監督原 將人による、映画『双子の星』に寄せてのエッセイを掲載する事になりました。ヨロシク御愛読ください!
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【連続 エッセイ『双子ちゃんたちのパパ』】
第2回目 三人のふたご
原 將人
双子ちゃんたちが持って来てくれたケストナー『エミールと三人のふたご』読了。
1930年代『エミールと探偵たち』に続いて書かれたこの小説は、『エミールと探偵たち』の続編だ。作者が『エミールと探偵たち』の撮影現場に遭遇する前書きから始まり、『エミールと探偵たち』の公開の映画館でモデルとなった彼らが舞台挨拶したりとか、当時のドイツでの映画人気が根幹に流れ、(1920年代には『カリガリ博士』『巨人ゴーレム』『ノスフェラトゥ』『メトロポリス』など表現主義で世界の映画をリードしていたドイツ映画、そして1930年にはマリーナ・デートリッヒをスターにした『嘆きの天使』が作られた。)映画がいかに国民メディアたりえていたか、(それを利用したのがナチス、ヒットラーだったのだが。)それら映画にまつわるエピソードが面白かった。
そしてヒットした前作の映画化ということをストーリーに組み込むことによって、メタフィクションではないが、メタフィクションぽくなるし、フィクションの再構築というか、児童文学ながら現代文学の線上にまで来ていることも非常に興味深かった。
1930年代のドイツの中学生・高校生の人生観、職業や金銭の感覚、母親の再婚に対する複雑な思いもきちんと書き込まれていたが、三人のふたごというのは、実は曲芸師がステージ興行上、客寄せのため、さういふことにしただけの話しで、実際に3人のふたごどころか双子さへ出て来なかったのが残念。ああそうか!ケストナーはさう言われて『ふたりのロッテ』を書いたのかもしれない。『ふたりのロッテ』を読まなければ・・・
そして、まみやとかりんがデュオとしてアイドルデビューする話(児童文学)も書きたくなった双子ちゃんたちのパパであった。