死体写真家−釣崎清隆−活動30周年プロジェクトを開始しました
vol. 2 2024-04-12 0
「死体写真家釣崎清隆活動30周年プロジェクト」を開始しました。すでにクラウドファンディングのご支援をいただいているみなさま、本プロジェクトをご高覧いただいているみなさまには厚く御礼申し上げます。
死体写真を撮って30年になります。世界の危険地帯を巡る長い旅路でした。
私が死体写真を撮り始めた1994年は自由な時代でした。間もなく「鬼畜系」といわれるサブカルチャーが勃興し、表現の自由の可能性が拡大して、その限界を試された時代でした。死体写真家、釣崎を生んだのはまだ自信を失う前の日本の寛容と楽天性といっても過言ではないと思います。
その頃私が訪れた国々は軒並み親日的で、危険地帯の残酷、非情と同時にそこでは「親日的」という言葉以上の、人の情けが身に染みる経験をしました。日本が力を失った昨今でさえ、ウクライナ人はロシアに戦勝した日本の先人に勇気付けられた気持ちを熱く語り、手厚く遇してくれました。
私は20世紀における日本人の偉大さを思い知るのです。私が今でも死体写真家を続け、「それでも世界は美しい」と言い続けられているのは、日本の先人の莫大な遺産の恩恵を受けたから、という自覚がはっきりとあります。ひいては私が日本人であるからこそ、死体写真家として活動を続けられていると運命的に信じています。だからこそ海外では、出来うる限り日本人の代表として恥ずかしくない態度を心がけてきたつもりです。そして私は祖国日本に対する返しても返しきれない感謝を、己の人生をかけて返さねばと思っています。
先にも述べましたが、長らく品切れ絶版となっていた『THE DEAD』、印刷屋が倒産し『THE DEAD』の重版ができなくなっていました。ただでさえ、請け負ってくれる印刷製本会社がない状況の、奇跡的に前回よりもクオリティーの高い印刷技術で制作できる会社と取り引きできることになりました。
前回刊行以降に撮影した未発表の素材と5月からメキシコに取材へ行くことによって、印刷製本の質だけでなく作品においても、写真集『THE DEAD』、更なるアップグレードをすべく動き始めております。
9月には、新宿眼科画廊にて、その成果を盛大に発表したいと考えております。ご支援よろしくお願いいたします。
釣崎清隆