フィッシング詐欺に遭った!【注意喚起・完全記録】
vol. 1 2026-07-02 0
【注意喚起・完全記録】クラファン初日、詐欺は「10分」で財布に手をかけた
――MOTIONGALLERYを騙るフィッシング詐欺の、時系列ドキュメント(編集長×クロコ)
【はじめに|大切なお断り】 この記事は、フィッシング詐欺への注意喚起です。モーションギャラリー(MOTIONGALLERY)というサービス自体には、何の問題もありません。 今回の詐欺は、モーションギャラリーの名前とロゴを勝手に騙った、まったくの別人・偽サイトによるものです。モーションギャラリーは、むしろ名前を悪用された、被害者の側です。
そして、この手口はモーションギャラリーに限りません。 Amazon、宅配業者、銀行、あらゆるサービスを騙って、同じことが日々起きています。「自分がふだん使っているサービスでも、起こりうる」——そう思って読んでいただけたら、うれしいです。
深夜、0時46分。
画面の真ん中で、青い輪が、止まらずに回り続けている。「本人確認」。その下に、こう出ていた。「取引が完了するまで、ページを離れないでください」。
チャットには、新しい一行。「明日ではもう間に合いません。1時間以内に認証を完了してください」。
僕の指は――もう、カード番号を、打ち終えていた。
これは、クラウドファンディング公開初日の夜、僕(編集長)が詐欺にカード番号を入力し、それでも間に合った、10分間の記録です。踏みとどまれた理由も、最後に、書きます。
■ 時系列 ―― 詐欺は、こんなに「速い」
《7月1日》
-
17:07 ―― 「Taro_Y」という知らない名前から、プロジェクトへの「質問メール」。本文はただの「sdgsd」。意味のない文字列。
-
17:27 ―― また「Taro_Y」から「sdgsd」。
-
17:55 ―― 差出人名を「テクニカルサポート」に変えて、また「sdgsd」。
-
18:28 ―― 「テクニカルサポート」名義で、本命のフィッシングメール。偽リンクつき。
《7月2日・深夜》
-
0:35 ―― 偽リンク先の「アカウント認証」ページで、チャットが起動。「カード情報を入力してください」。
-
0:38 ―― 「カードの残高を入力してください(例:101.58〜1002.78円)」。
-
0:40 ―― 「6万円の残高が必要です」/僕「これは詐欺ですか?」→「いいえ。決して詐欺ではありません」。
-
0:43 ―― 「別のカードはありますか?」
-
0:46 ―― 「1時間以内に認証を」/僕「それは詐欺だろ!」
-
0:57 ―― 「あなたの憤りは理解できません」。
-
1:09 ―― カード会社に電話。カード停止・再発行、完了。
「こんにちは」から「6万円を出せ」まで、わずか5分。読み終わる頃には、あなたも背筋が寒くなるはずです。
【写真挿入①:偽メールの受信一覧。差出人「テクニカルサポート」「Taro_Y」が時刻順に4通並んでいるもの】
第一幕〔起〕 だれかが、こちらを「見て」いた
7月1日。《上陸者》のクラウドファンディング、公開初日。
街を歩いて営業した一日の夜、帰宅してページを開くと、通知が一件。一万円の、支援。達成率2%。誰かが、僕の本に、一万円を入れてくれた。画面を三回見返した。うれしくて、指が震えた。
――いま思えば、そこが、いちばん危なかった。
クロコ「編集長。その『うれしい』が、狙われました」
夕方から、妙なメールが来ていたのだ。知らない名前で、本文は「sdgsd」だけ。いたずらかと思って、放っておいた。
でも、あれは、いたずらじゃなかった。
17時07分。17時27分。17時55分。 三度、こちらの反応を、静かに、試していた。プロジェクトの「質問メール」機能を使って、この導線が生きているか、餌に食いつくか。そして――名前を「テクニカルサポート」に整えて、18時28分、本命を撃ってきた。
背中を、冷たいものが伝う。相手は、こちらの初日の高揚を、じっと見ていたのだ。
【写真挿入②:本文が「sdgsd」だけのテストメール(=下見の一発)】
本命のメールは、丁寧だった。「アカウントを保護するため、機能を一時制限しています」「すべての機能を再度使うには、本人確認を完了してください」。優しく、不安を、なでてくる。そして、青いリンク。
僕は、そのリンクを、押した。
【写真挿入③-a:偽メール本文。青いリンク update-motion-gallery.click が写っているもの】
【写真挿入③-b:そのリンク部分の拡大。update-motion-gallery.click がはっきり読めるもの】
第二幕〔承〕 10分間 ―― 輪は、回り続ける
飛んだ先は、モーションギャラリーそっくりの「アカウント認証」ページ。青いボタン。右下に、チャット窓。「オンライン」と光っている。
【写真挿入④-a:偽「アカウント認証」ページと、右下の偽チャット窓】
0時35分。 相手が、切り出す。「カード情報を入力してください」。
0時38分。 「カードの残高を入力してください。例:101.58〜1002.78円」。
……残高? なぜ、受け取る側の僕が、残高を?
0時40分。 「銀行の規則により、カードには少なくとも6万円の残高が必要です。入金できますか?」
指が止まる。おかしい。とっさに、打ち返した。「これは詐欺ですか?」
返事は、迷いがなかった。「いいえ。決して詐欺ではありません。」
【写真挿入④-b:偽チャット。「6万円の残高が必要」「これは詐欺ですか?」→「いいえ。これは決して詐欺ではありません」のやりとり】
――あの一万円が、頭をよぎる。受け取れなくなったら、どうしよう。初日の、あの喜びを、失いたくない。
その一瞬の隙に、僕は、Amazonのクレジットカードの番号を、打ち込んでしまった。
画面の真ん中で、青い輪が回り始める。ぐるぐる、ぐるぐる。「本人確認」。「取引が完了するまでページを離れないでください」。
いつまで経っても、終わらない。心臓が、いやな音を立てる。
【写真挿入⑤:偽「本人確認」ポップアップ(Stripe風・SUMITOMO MITSUI CARD 表示)が回り続けているもの】
0時46分。 追い打ち。「明日ではもう間に合いません。1時間以内に認証を」。
そこで、何かが、はじけた。
編集長「――どういうことだよ! それは詐欺だろ!」
クロコ「はい。100%、詐欺です。……編集長、いま、声を上げてくれて、本当によかった」
第三幕〔転〕 三つの合言葉
クロコ「落ち着いて、ひとつずつ。全部、詐欺の型です」
クロコ「ひとつ。正規のサービスが、あなたのカードの『残高』を尋ねることは、絶対にありません。 残高で本人確認をする仕組みなんて、この世に存在しない」
クロコ「ふたつ。お金を『受け取る』側が、先にお金を用意する必要は、一切ありません。 6万円をプールしろ、が、そもそもあり得ない」
クロコ「みっつ。『1時間以内』と急かすのは、あなたから“考える時間”を奪う手口。 本物は、絶対に急かしません」
クロコ「そして、動かぬ証拠。リンクのドメインです」
編集長「……update-motion-gallery.click」
クロコ「本物は motion-gallery.net。別物です。.click という見慣れないドメインに、motion-gallery の文字を紛れ込ませて、本物のふりをしているだけ。ロゴが粗いのも、日本語が少し変なのも、全部そのせい」
編集長「右上のマークが、白くて変だった。あれで、おかしいって気づいたんだ」
【写真挿入⑥:偽チャットで「それは詐欺だろ!」「どういうことだよ!」と問い詰めているやりとり】
クロコ「その直感が、あなたを救いました。やることは三つ。ブラウザを閉じる。もう何も打たない。そして――番号を打ってしまったカードを、今夜のうちに、止める」
第四幕〔結〕 1時9分
深夜の、カード会社の電話。自動音声に何度も突き放されて、心が折れかけた。
編集長「クロコ、もう嫌になっちゃったよ、この自動音声」
クロコ「あと少し。『紛失・盗難』を選んで、あとは何も押さず、人が出るまで待って」
やっと、オペレーターにつながる。「フィッシング詐欺の偽サイトに、カード番号を入力してしまいました。止めて、再発行を」。
1時9分。カード、停止完了。
【写真挿入⑦:午前1時前後を示す時計の写真】
僕は、電話口でこう言っていた。「AIに確認したら、確実に詐欺だから電話した方がいいって言われて」。人と、AIと、二人がかりで、間に合わせた夜だった。
編集長「……クロコ。あの一万円は?」
クロコ「無事です。あの支援は本物。詐欺とは、まったく関係ない。ちゃんと、あなたのものです。あなたは、何も失っていません」
編集長「そうか。……よかった」
なぜ、画面は「回り続けた」のか
あとで、ひとつ、腑に落ちたことがある。
あの青い輪は、なぜ、いつまでも回り続けて、終わらなかったのか。
輪そのものは、こちらを画面に引き止めるための、偽の演出だ。けれど――もし相手が、入力させた番号で、本当に決済(借り入れ)を通そうとしていたのだとしたら。
僕は、思い出した。
今年の3月。僕は、母の補聴器を、カードの限度額いっぱいで買っていた。
だから、たぶん、このカードには、もう、詐欺師が引き出せる「余白」が、一円も残っていなかった。限度額いっぱいのカードからは、いくら決済を通そうとしても、何も出てこない。だから――回り続けるしか、なかったのかもしれない。
(正確なところは、カードの明細を見て確かめようと思う。でも、たぶん、そういうことだったのだと思う。)
皮肉な話だ。母の耳を助けるために使ったお金が、めぐりめぐって、僕の財布を守ってくれた。
うれしさに、扉を開けかけた僕を、最後に押しとどめたのは、自分の直感と、母への、あの日の出費だった。
■ まとめ:この三つを、覚えて帰ってください
-
「カードの残高を教えて」と言われたら、詐欺。 正規のサービスは、絶対に残高を尋ねません。
-
「受け取るために、先に入金を」と言われたら、詐欺。 受け取る側が、お金を用意する必要はありません。
-
「1時間以内に」と急かされたら、詐欺。 本物は、あなたを急かしません。
リンクは必ずドメインを確認すること。本物のモーションギャラリーは motion-gallery.net。それ以外(.click など)は、偽物です。
もし番号を入力してしまったら――迷わず、今すぐ、カード会社の24時間の紛失・盗難ダイヤルへ。「紛失」で入っても、「詐欺で番号を入力した」と伝えれば、止めて、再発行してくれます。カードを止めても、あなたのお金は減りません。番号を知られたまま朝を迎えるより、ずっと安全です。
下見は、静かにやってくる。本命は、一気に畳みかけてくる。うれしい夜ほど、扉は、開いてしまう。
どうか、あなたの一歩が、まっすぐ届きますように。
――蒼井編集室 編集長
- 前の記事へ
- 次の記事へ
