メンバー寄稿Vol.4 最終日「部外者」だからこそ言いたいこと
vol. 54 2021-06-10 0
みなさんこんにちは。プロジェクトメンバーの柳澤と申します。
いよいよクラウドファンディングも今日まで。これまで本当にありがとうございます。
本当は他のメンバーと一緒にもっと前に書こうと思っていたのですが、応援してくれたアーティストのみなさんを優先していたので、本当にギリギリになってしまいました。
しかしこのギリギリだからこそ、このタイトルで書くことにも意味があると、キーボードにむかっています。
厳密にいえば、私はこのプロジェクトの当事者ではなく「部外者」だと自分では思っています。
10年前の3.11以降、気の遠くなるような測定活動やデータ集約に、私は直接関わっていませんし、放射能に関する知識も他のメンバーに比べたら、素人ともいえるレベルです。
ただあの震災から、原発事故と核の問題について自分なりに学び、SNSで発信していくうちに、このプロジェクトのメンバーでもあり、市民測定室ネットワーク「みんなのデータサイト」事務局長である小山さんに声をかけていただき、この活動を広く知らせるというお手伝いをしてきました。
そのようなご縁を経て、他のメンバーである中村さん、阿部さんらとも出会い、そばで市民の放射能測定活動を見てきた身として、このクラウドファンディングを成功させたいと心から思っています。
人類史上最悪レベルの原発事故における放射能の測定と記録は、本来は後世のために国がなにをも優先してやらねばならないこと。
なぜなら私たち日本人が体験したことのない放射能事故における後世への知見だから。
しかし国は実際のところ、そこに力を入れているとはいいがたい状況です。
そんななか、全国の心あるみなさんが自腹で測定器を購入し、食品や土の正しい測定値を知り、学び、選ぶ権利を守るためにはじめたのが市民測定室です。
2018年、そうして4,000人のボランティアが採取した17都県3,400箇所の土壌測定記録と、放射能に関する知識をまとめたマップ集制作のクラウドファンディングの応援隊長を拝命し、250万の目標に対して630万近くの支援をいただけたことは今でも忘れられません。
しかしこのデータ測定と蓄積、とりまとめとサイト運用には大変な労力、人件費が必要です。
本を印刷、制作するのにもお金が必要。測定器や測定室の維持にもお金が必要。
それを、専従でこの仕事をする事務局メンバー4名と、各地の測定室の方々は、信じられないほどの安い金額で、膨大な時間を費やして支えてきたのです。
前回のクラウドファンディングのときはもちろん、その他のことにおいても、何度もスタッフが徹夜して資料を作ったりするのを見てきました。
それを支えてきたのは、安全を自分で選ぶ権利と知識を後世のために残さねばならないという使命感だけだと思います。
私がもしこの仕事を専任でやるとしても無理です。
この条件じゃとてもじゃないと生活できませんから。
だから私は他に本業をもっているし、そうじゃないと無理。だから部外者だと思ってるのです。
みなさんもいろいろなことを工面してやっているかと思いますが、正直なところ、どうやって生計を成り立たせていられるのか、聞くに聞けません。
そんな状況をみて「大変なことは分かるけど、結局は自分らが好きでやってるんでしょ」というのは簡単です。
「みんな原発事故のこと、放射能のことなど忘れかけてるなかで、そんなに大変なことをそんな金額で、命かけて人生費やすなんて大変すぎること、やめてもいいんじゃないか」と私も何度も思いました。
しかし、しっかりとしたデータを残さねばならないという静かで強靭な使命感は、金がどうこうの話じゃないんだということを、私は彼らとのご縁を通じて学ばせてもらったのです。
私はその使命感に感銘を受け、素人であり部外者でありながら、自分ができることでお手伝いをしたいとこのプロジェクトに関わっています。
私は仕事がら、ビービーうるさく騒ぎたてるのが割と得意なようですし、このうるさく騒ぎ立てるスキルを活かして貢献したいと思ったのです。
なぜなら、多くの測定活動に関わるみなさんが、評価や称賛、対価を強く求めることなどなく、あまりにも誠実にこの活動に携わっているから。
でもお断りしておきますが、誰からも「お金がない」「お金がほしい」という嘆きを聞いたわけじゃありませんよ。私が傍で見てて勝手に言わせてもらっているだけです。
ただ「それじゃ本当はダメだ」とも私は思っています。
いいこと、正しいこと市民活動だから、お金はもらえない、生活レベルを我慢して、人のために尽くすというのは誰にでもできることじゃありません。
だから、いま市民測定室やみんなのデータサイトがなくなったら、この歴史的データを継承して後世に伝える人はいなくなってしまうと思っています。
今回発起人として、すばらしいアーティストのみなさんを連れてきてくれた平井有太マンもそれを強く主張してくれ、議論のすえ、目標金額は高めに設定しました。
とはいえ、いただいた支援をスタッフの給料だけに使うわけじゃありません。
そもそも30もの市民測定室の活動を支えながら、4人分が動く人件費だけにしても、ぶっちゃけたかが知れているでしょう?
だからこのプロジェクトでは、測定室支援のほかに、ウェブサイトを作り、そこで何かしらの営利事業をやっていかなきゃ存続は無理と個人的には考えています。
この活動を支えてくれる人たちと連携したビジネスモデルを作り、そこで生まれる収益で運営費を補填できる仕組みです。
これはメンバー全員の合意ではありません。
しかし「部外者」である私だからこそ、彼らを支えるためにその仕組みをつくる必要を感じているし、彼らの代わりにみなさんに言えることだと思っています。
でないといつまでもこの測定活動は、みなさんのご厚意の寄付や支援に頼るしかない。
しかしそれにも限界があるし、金額が足りなければ今と同じく、自分らが我慢して活動を継続しなければならなくなる。
・・・それっておかしいじゃんよ。
だって本来は社会の多くが知るべき、原発事故を起こした世代の責任として、命をまもるための情報なんだから、持続可能性のあるかたちで残していかなきゃダメでしょ。
ただでさえ続けるのが難しいチャレンジであることは百も承知ですが、今回のプロジェクトは、そこにチャレンジするためのスタートアップでもあるのです。
これまで10年間、測定活動を信念で支えてきてくれたみなさんの活動の価値が正しく評価される仕組みをなんとしても作りたいのです。
好き勝手に書かせていただき恐縮ですが、ちょっとでも賛同いただけたら嬉しいです。
クラウドファンディング、今の時点で目標まで残り250万ほど。
最後の1日、今日の23時59分までで、どこまでいけるか。
今日の21時からは、メンバーと測定室の方も参加してのファイナルトークセッションもあります。
https://www.facebook.com/events/272944477909824
誰でも参加できますので、現場の声を直接聞いてください。感じてください。
そしてこのプロジェクトを応援してください。
何卒よろしくお願いいたします。
TeamLINKS代表 柳澤史樹
>>>カバー画像は、中筋純さんが撮った福島県富岡町夜の森の桜。
リターンとして提供いる写真を許可をいただき掲載させていただきました。
【500,000円】中筋純 超大型写真作品「桜」(限定1点)
チェルノブイリ、そして東京電力福島第一原発事故後の福島に通い続けた中筋純 渾身の作。金沢21世紀美術館、あざみの「もやい展」などで展示された代表的な大作3作を今回特別に提供。
夜の森桜並木。2020年3月の常磐線再開による一部避難指示解除によって南北に伸びる桜並木を隔てたゲートは解放された。だが、東西に伸びる桜並木の境界には新たにゲートが設けられ、照りつける朝日に鈍く輝く。人がまばらになった街にも季節がくれば桜は咲く。人の営みになどまるで気にせず精一杯に自らの春を謳歌する。
サイズ:1524mm × 2286mm 額装なし(希望によりサイン入)2020年04月撮影