近況報告。
vol. 31 2022-01-16 0
年が明けて、先日、映画本編と予告編のDCPを作成してきました。
映画は、少し前まではフィルムを映写機にかけて上映していましたが、現在は、DCPという、データ形式で上映するのが主流になっています。
本編のDCPデータは外付けハードディスクに、予告編はUSBメモリに入って、出来上がってきました。
(デジタル素材のため、フィルム代・現像代等がかかるフィルム素材よりコストカットになり、画質も、フィルムにひけをとらない状況になっていると言われています)
DCPが出来てきたので、これでいつでも映画『おれらの多度祭』が上映ができる状態になったことは、間違いありません。
さて、東京のミニシアター・岩波ホールが、今夏、閉館することになったそうです。
https://www.chunichi.co.jp/article/399855
今作『おれらの多度祭』のような、単館系と呼ばれる映画たちを上映してきた東京のミニシアターが1館、閉館するということは、映画の受け皿が一つ減ることになり、その分の映画が他の劇場に流れていく、ということが予想されます。それによっては、東京・名古屋公開が内定している今作『おれらの多度祭』の公開時期も少しずれ込むことになるかもしれません。
(※公開情報に関しましては、もろもろ確定し次第お知らせさせていただきますので、もう少々お待ちください。一番にこちらでご報告いたしますので、各所への直接のお問い合わせはお控えくださいませ)
私個人としては、18歳から約11年間、東京に住んでいましたが、岩波ホールには一度も行ったことがありません。今でこそドキュメンタリー映画を作り、岩波ホールでかかるような作品にも関心ありますが、なんせ、10歳の時にテレビで観た『エイリアン2』で映画を好きになった人間です。当時、映画館には娯楽映画や人間ドラマを観に行くことが多かったのです。
一度も行ったことがないとは言え、ドキュメンタリー映画制作に携わるようになってからは、その名を聞くことは多く、いつも存在を感じていた映画館です。私が十代に通った三重県の映画館は、軒並み廃業し、1館も残っていません。いつの時代も、映画館がなくなるのは寂しいことです。
今はなき三重県四日市市の映画館の半券。捨てられません。
今作『おれらの多度祭』は、東京・名古屋の映画館が上映を内定してくださっています。
(他の劇場にはまだ話を持って行ってません)
単館系の映画を上映していく際は、1館でも上映館が増えることが「成功」の分かりやすい指標としてあるようです。
今作同様、私の前作『人情噺の福団治』も、配給会社に依頼するのではなく自分たちで上映を進めていったのですが、上映してもらえる劇場を増やすためガムシャラに頑張りました。名古屋・東京・横浜・大阪・神戸・広島・福岡・大分・鹿児島、さまざまな劇場で上映されるのは嬉しく、ありがたいことでした。
(上二枚)大分・別府ブルーバード劇場
ただ、同時に、上映劇場が増えることと、劇場にお客さんがしっかり入ってしっかり観ていただく、ということは、また別なんだな…とも学ばせていただきました。やっぱり「気は心」なんですよね。こちらが想いを持って宣伝し、上映され、映画を観てくださった方の心が動いて、それが次のお客さんを劇場に呼び…というような、好循環で上映が拡大されていくのでないと、本当の意味で映画は拡がらないのだな、ということを今は強く感じています。
だから、この『おれらの多度祭』は、ガムシャラに押し進めるのではなく、作品にとって、お客さんにとって、劇場にとって、幸せな上映になるよう、前向きに試行錯誤しながら進めていきたいと考えています。なかなかハードルの高い目標だとは思いますが、やってみる価値のある実験だとも思います。
2022/1/16
監督 伊藤有紀
https://www.orerano-tadomatsuri.com/
印鑑には、これからたくさん活躍してもらう予定です。