参加アーティスト紹介[4]Juni./出自の鎧を脱ぎ捨てて歌う「本心」
vol. 11 2020-12-23 0
福島県民なら誰もが知っている会社の令嬢であり、叔父は世界を舞台に活躍するマエストロ。人もうらやむそんな環境に生まれ育ったJuni.さんですが、これまでの人生の多くの時間は、それ故の葛藤に悩みもがいた時間だったと振り返ります。
「良い子であるべき自分」と「本当の自分」の間で振り子が揺らぐ子供時代。その中で最初に手にした成功体験は、小学校時代に取り組んだ合唱でした。与えられたものではなく自分自身の能力で先生に褒められ、賞を獲ることで大人に認められた。そのことが、彼女を音楽の道へと導くきっかけとなります。
しかし、その後Juni.としてデビューしてからも出自の呪縛から解かれることはありませんでした。その中で自らに課したのは、毎月1曲、ライブのたびに必ず新曲を作り発表すること。それは自らを覆うイメージを塗り替える作業であり、自分の心の中にある本当の自分をさらけ出す作業でもありました。その努力は少しずつ実を結び、家柄ではなくJuni.に寄り添うファンが増えていきました。
でも、本当の意味で自分を覆う鎧を脱ぐことができたのは、ほんのここ1年ちょっとのことだと彼女は語ります。震災後の一時期、彼女は音楽の世界から身を引いていました。自らの開放が自らに創造の重圧を与え、彼女から自信を奪っていたのです。「私なんかが歌っていていいのか」。いつしかそんな想いが頭をもたげるようになっていました。
前向きな気持ちになかなかなれずにいたそんなある時にファンから届いた一通のメール。その言葉に、彼女は心を動かされます。
「またJuni.の生の歌が聴きたい。Juni.の歌があれば生きていける」
自信をなくしたこんな私を、他の誰でもない自分を、まだ必要としてくれる人がいる。そんな人が一人でもいる限り、自分は歌うべきなのではないか。彼女は再びマイクの前に立つようになりました。
ライブは彼女にとって大切な「居場所」の一つ。新型コロナウイルスの感染が拡大しファンを前に歌う機会が奪われる中、試しに挑戦した配信ライブが予想外に自らにフィットしたと言います。配信ライブにつけたタイトルは「本心」。これまでの葛藤を乗り越えた今の彼女だからこそ冠することができたタイトルであり、そこには今の彼女だからこそ歌える歌があるはずです。シンガー・ソングライターJuni.の真のデビューは、これからなのかもしれません。
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