今度、聞く
vol. 25 2020-08-15 0
お盆だった。
新潟は8月13日に一斉にお墓参りに行く。小さな頃からそういうものだ、と思っていたけれど、だんだんと、昔からの「そういうものだ」は形を変えている感じもする。
夕方過ぎにお墓に行った。日差しの強い昼間のお墓参りしか知らなかったから、暑さの和らいだお墓は少し違って見えた。そのせいなのか、このお墓は誰が建てて、誰が入っているのだろう、と気になった。そんなこともよく知らずに、これまで何となく、毎年手を合わせてきたのだけれど、今年は何故か、気になった。墓石の横を見てみたけれど、漢字が複雑で再建した年しかわからなかった。
誰かがこのお墓を建てて、誰かが中に入っている。誰が、いつ、どんな風に。今年は、はじめて両親と行かずに行ったお墓参りだったので、「今度聞こう」と思った。
生きている人には、「今度聞こう」と思いつくことができる。お墓に入っている人には、「今度聞く」ことはできない。けれど、生きている人たちに、「今度聞く」ことはできる。いつもよりもくっきりと、できる「今度」とできない「今度」がくっきりと見えた、そんな今年のお盆だった。
今度聞こうと思ったことは、ちゃんと、今度、聞こう。そして、書いておこう、と思った。忘れてしまうかもしれないから。
そらあるき 新潟支部
BarBookBox 豊島淳子