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コロナ禍に求められる“物語”の役目を問う。小冊子『そらあるき』の臨時号発行をクラウドファンディングで実現!

コロナ禍を生きていく中で失われがちな物語について考えて貰うきっかけになればと、
小冊子「そらあるき 臨時号」を発行します。

金沢で制作している小冊子『そらあるき』。コロナ禍に際し臨時号を発行します。日常生活の変化の中で皆さんが改めて考えている事や疑問に思われている事に繋がっていき、そこから何かを紡ぎ出す為のきっかけの一冊になればと思います。

FUNDED

このプロジェクトは、目標金額350,000円を達成し、2020年8月31日23:59に終了しました。

コレクター
84
現在までに集まった金額
540,600
残り日数
0

FUNDED

このプロジェクトは、目標金額350,000円を達成し、2020年8月31日23:59に終了しました。

Presenter
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PRESENTER
塩井 増秧

アンティーク「フェルメール」店主。金沢で発行する小冊子『そらあるき』編集長。

このプロジェクトについて

金沢で制作している小冊子『そらあるき』。コロナ禍に際し臨時号を発行します。日常生活の変化の中で皆さんが改めて考えている事や疑問に思われている事に繋がっていき、そこから何かを紡ぎ出す為のきっかけの一冊になればと思います。

【※7月30日追記】
おかげさまで当初設定していた目標金額を達成できました。本当に皆さまの熱いご支援のお陰です。ありがとうございます。これから先のご支援金は冊子の仕様充実やメルマガを冊子化した物の制作費用に充てさせて頂きますので、引き続き応援いただけると幸いです。

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小冊子『そらあるき』とは

「そらあるき」は、石川県金沢市で14年前から、有志の編集メンバーによって制作されている小冊子です。だいたい年に1冊くらいのペースで、これまでに17号を発刊しています。(HPはこちら)編集部メンバーは全員本業の傍ら編集作業を行っています。この14年の間に冊子を扱ってくださる店舗も増え、県内外含め約90店舗で販売しています。(販売店もこちらからご確認いただけます)


コンセプトを少しずつ変えながら14年間発行し続けてきました。

冊子名である『そらあるき』とは、金沢の方言のようなもので「高く積もって、表面が固く凍った雪の上をはまらずに歩くこと」を指します。ちょっといつもと視点を変えて、心地よい浮遊感をもって街を歩こう、という創刊時の想いがこの名前には込められています。

当初は“ガイドブックに載らない金沢の穴場や魅力”を紹介しようと言って始めました。けれど、この14年で「紙媒体で情報を発信する」ということの役割や意味が大きく変わりました。スマホ片手にどこでもいける時代に、もう“単なる紹介”はなくてもいい。そこで、ここ数年は十年二十年後でも色褪せずに読める小冊子を目指して『そらあるき』の制作に取り組んでいます。


編集メンバーが今気になるテーマや思うことをコラム形式で紹介しています。


そらあるき編集メンバー。左から細川、塩井、南、齋藤。


新潟支部メンバー・豊島。

今沈黙していたら「そらあるき」の意味がない

さて、今回『そらあるき』の“臨時号”を出すに至った経緯を少し話させていただきます。

新型コロナウイルスの感染拡大が起こる以前、僕らは18号目となるはずだった『そらあるき』の制作にとりかかっていました。すでにかなりの割合で原稿が上がってきていましたが、今春以降の感染拡大の状況を鑑み「事態が落ち着いたら出しましょう」と、当座の発行は延期することに。この状況下では妥当な判断だとも思っていました。しかし、編集メンバーのデザイナーから「こんなときに黙っていたら『そらあるき』の意味はないと思います。こんなときだからこそ出すべきです」と檄を飛ばされ、本当にその通りだなと、僕もハッと目が覚めた次第です。

先が読めない状況下で沈黙していて、事態が終息してからメッセージを出したところで何の意味があるのか。私たちの生活の仕方が変化を余儀なくされている今こそメッセージを出す時であると。そこで急遽「臨時号」として『そらあるき』を発行することに決めました。

準備していた原稿は一旦すべて保留にさせていただきました(この状況下では、その前に用意していたものを出しても読者に届かないと思ったからです)。新型コロナウイルスがもたらしたこの状況下で、言葉によってできるかもしれない、小さいかもしれないが、ある可能性を探りながら臨時の冊子を作ることにしました。


こちらは2017年に発行した『そらあるき』17号。

この時代に求められる“物語”の役目

僕はこういう時代、状況下だからこそ「物語」、もっと広く言えば「紙で書かれたもの」を読むという行為は、以前より重要性が増すと思っています。

話は飛びますが、近代経済のシステムが誕生した18世紀と、「小説」という物語の形式の起こりも時代を一にしています(世界は今のところその最終形態である “新自由主義”と呼ばれる経済システムが席巻しています)。この近代経済には、多くの人が指摘しているように、非常に非人間的なところがあります。その中で上手く居場所を見つけられる人もいるが、かなり無理をしないと生きられない人も大勢います。つまり、毎日に大きなストレスを抱え、かなり異常とも思える労働条件の中で働きながら疲弊してコワレテいく人が大勢いる。でも全体のシステムはそうやって多くの人間をツカイステながら動くことは決して止めない。そういう残酷なものに成り果てているんです。
けれど、私たちはそのシステムの枠からはみ出して生きることはできません。例え、いくら山の中で畑を耕して生活していようが、僕のように西洋骨董屋という社会の周縁部で生活に必要のないものを売っているような人でも、実は立派にその枠の中に組み込まれている。

そんなシステムの中で生きていくには、どうしても無理が生じてくるわけです。まるでキツキツに締め上げられたネジのように、遊びのないところへ追いやられていくんです。でも人間ですからその部分を「緩める/リリース」しないとまいってしまう。そのネジを少しでも一時でも緩めるひとつの方法として、「物語」や「文学」があると僕は思っています。近代経済の負の部分の解毒剤として「物語」を眺めることもできる。言い換えるなら、非人間的経済システムの中、人として還るべき「故郷」を喪失した状態にある僕たちが、その「場」に還っていくための“手がかり”や“道具”として「物語」がある。しかし、昨今本屋に平積みされているような本の多くは、文学として機能していない、物語のふりをして実は“反物語的”であると感じています。つまり、本当の意味ではそのシステムに対して挑もうとしていない、どこか馴れ合いの臭いを含んでいる。文学はいつの時代も「破壊する者の顔」を具えているはずなのに、今の文学にはそんな気配はあまりないです。

物語を奪う“コンタクトレス”な生活様式

ここに来て今回のような新型ウイルスの世界的感染拡大が起きました。いわゆる「新しい生活様式」では、人と人の接触を極力減らす、コンタクトレスな生活が推奨されています。飲み会やお金の受け渡しひとつとっても、全てオンラインや疑似体験に取って代わられようとしています。この状況は、また別の角度で、僕たちから「物語」を奪うことになると思っています。直接人と人が出会わなければ、「物語」は生まれないからです。実際に飲み屋さんに行って、たまたまそこにいたおじさんと話せば、たわいもない会話から小さな物語が生まれることもあるでしょう。そういった偶発的なものも含めて、コンタクトレスな生活を続けていると「物語」は絶対目減りしていくわけです。古い考えかもしれませんが、人は人と会うことでしか「人らしく」あることは出来ないと思っています。人と会って話す、一人になる、そのオンとオフの繰り返しだと思います。

もともと非人間的なシステムの中で何とか暮らしていた私たちから、僅かながら残されていた「物語」すら、今回のパンデミックは奪おうとしている。こんなとき、僕らはこの状況にもっと憤りながら、かつ「物語」が目減りしていないか注意をしないといけないと思うんです。物分かりの良い顔をしている場合じゃない。

“失われゆく領域” に一滴でも水を

新型ウイルスも恐ろしいものだと承知しています。けれど、僕が一番恐れているのは、コロナショックをきっかけに変化・劣化していく人間の生活や心の在り方です。長期的に考えたら、こちらの方がよっぽど恐ろしいのではないでしょうか。外見だけは人間に見えながらも、徐々に劣化していつしか別のものに成り下がり、それでもなお“人間”と呼ばれつつただ生きている。恐らく一番恐いのは自分の中にいつのまにか巣食っている「他人」が、それでも自分の一部のように思えてくることです。人間には自分の内面の劣化は見えませんからね、ケガは見えるけど精神の低下は見えない。

今僕たちは小さな冊子を出すことで、乾きゆく大地に一滴の水を落とせたらと思っています。僕たちにできることは小さいことでしかない。でもやることとやらないことの間は大きいと思います。物語や「故郷」が失われていく世の中にあって、そういったものに心を馳せるきかっけになるものを提供したい。僕たち自身が何かすごい物語を紡げる訳ではないですが、この冊子をこうやって色々な方々の協力で作っていくのもひとつの物語かなとも思っています。紙の本に手で触れて読む小さな物語や、物語の始まりとなってくれるもの。そんな小さな体験が促してくれるものをもっと大事にしないと、日々の生活は本来の活きた流れを失ってしまう。失われゆく領域に、殆ど顧みる人のいなくなった場所に、誰かが一滴でも水を垂らさなければ、私たちの「土地」は枯れていくだけです。


取材で訪れた能登の風景

『そらあるき臨時号』執筆陣

「そらあるき」では、これまでも有名無名問わず、様々な立場の方々に原稿をお願いしてきましたが、今回はあえて「自分たちできちんとコミュニケーションが取れる範囲」の方々に限定して執筆を依頼しています。エッセーとエッセー風の書評、そして写真とで構成されます。現時点で確定している方々はこちら。

阿部ふく子 (新潟大学准教授)
市橋美佳 (陶芸家)
Eriko Tsugawa (詩人、アイルランド)
太田耕司 (「ブックカフェ・フィールド」店主)
岡本容子 (精神科医)
押川恵理子 (北陸中日新聞記者)
上坂陽子 (主婦、「そらあるき」編集部)
木村小夜 (福井県立大学教授)
小嵐未仁 (会社員)
斎藤雅宏 (「Kapo」代表、「そらあるき」編集部)
塩井増秧 (「フェルメール」店主、「そらあるき」編集長)
柴田優子 (木口木版作家)
菅原武男 (バー「カマラード」店主)
杉田真衣(レインボー金沢、東京都立大学教員)
澄谷裕子 (司書)
瀬川晃 ( IAMAS 准教授)
武石和実 (「榕樹書林」代表)
壺井明 (画家)
出和絵理 (美術家)
豊島淳子 (「BarBookBox」店主、「そらあるき」編集部)
則竹知子 (ライター)
細川真衣 (「ギャラリートネリコ」店主、「そらあるき」副編集長)
長本まどか (デザイン事務所「りんご工舎」代表)
松永紗耶加 (活版印刷「ユートピアノ」「そらあるき」編集部)
南知子 (デザイナー、「そらあるき」編集部)
薮田由梨 (徳田秋聲記念館学芸員)

クラウドファンディング 資金の使い道

支援金はすべてデザイン代・印刷代・送料、及び外部執筆者への若干の原稿の御礼に使わせていただきます。

発行スケジュール

「臨時号」は現在鋭意制作中で2020年9月末までの発行を予定しています。

特典について

■『そらあるき臨時号』
ご支援額によって冊数は異なりますが、刷りたてをお届けいたします。ご友人にも是非プレゼントいただけたら。

■ お礼のメッセージ
「そらあるき」編集長・塩井増秧からの御礼メッセージ

■「そらあるき」メルマガ
編集部おすすめの書籍や、コラムなど毎回テーマを変えて毎週配信。支援者の皆様限定、書き下ろしのメルマガをお届けします。(半年間)

■「そらあるき 」バックナンバー
過去の「そらあるき」バックナンバーの中から(在庫切れ除く)、おまかせでお送りいたします。(5,000円コース1冊、10,000円コース2冊)

■メルマガを冊子としてまとめたもの
10,000円コースの方限定で、支援者の方に半年間毎週お送りする「そらあるき」メルマガをまとめあげた冊子(非売品)をお届けいたします。(※メルマガ期間満了後の2021年6月送付予定)

想定されるリスク

目標金額に達することができなくとも、自費を使って計画を実行します。ですので、今回ご支援いただいた方のお手元には必ず、リターンとしての『そらあるき臨時号』をお届けいたしますのでご安心ください。

最後に

最後に、この新型コロナの影響で、私だけでなく他の「そらあるき」メンバーも収入が減っています。「そらあるき」は昔から広告一切なしで、行政の補助も一切受けず、完全な中立を保ちながら、売り上げの収入だけで運営してますが、その売り上げも最近は落ち込んでいて赤字状態なのです。普通の営利目的の雑誌ならもうとっくに廃刊する状況なのです。

そのような状況下で新しく冊子を出すのに今回に限り、このようなかたちで皆さんに募金をお願いするという、苦渋の選択をした次第なのです。兎に角、皆さんの助けを借りてでもメッセージを出したい、出すべきである、という考えに至った次第です。このコロナ禍も二三年経てば少しは落ち着くでしょうが、その頃に、今回の特別号を出して良かったと皆さんにも思って頂けたらこんな嬉しいことはないです。この時期を回顧するときにまた書棚から取り出して再読して頂けるような一冊になり得るようなものを出したいと思っています。


『そらあるき』編集長・塩井。

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  • 2000

    『そらあるき臨時号』1冊

    • 『そらあるき臨時号』1冊
    • 御礼のメッセージ
    • 2020年10月 にお届け予定です。
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    • 2020年10月 にお届け予定です。
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    『そらあるき臨時号』4冊 +『そらあるき』バックナンバー2冊 +メルマガ+メルマガを冊子化したもの

    • 『そらあるき臨時号』4冊
    • 「そらあるき」メルマガ
    • 『そらあるき』バックナンバー2冊
    • メルマガを冊子化したもの(限定非売品)
    • 御礼のメッセージ
    • 2020年10月 にお届け予定です。
    • 33人が応援しています。