編集部の話「手書きのすゝめ」
vol. 14 2020-07-29 0
そらあるきの準備のためにひらく編集会議のたびに、塩井編集長が話す決まり文句のようなものがあります。「原稿を書くときは白い紙に筆記具で書くことを勧める。パソコンのキーを打って入力することとはまるで違った体験なのだから」。それを聞くたびに、僕は「まっしろな画布(キャンバス)が一番怖ろしい」と言ったある画家の言葉を思い出します。何を描くのか。具象画なのか抽象画なのか、または画材に画布に絵の具をのせるのか、絵の具でなくても印刷物や写真を切って貼り付けたりすることもあるでしょう。それはものすごく自由であり、それゆえの迷いも生じます。
手書きにおいては「パソコンの文字の予測変換もないし書式設定もない」(編集長がこのフレーズを話す時ににじませる「便利さ」に対する違和感といったら)。
なぜ白い布や紙が怖いのでしょうか。おそらくひとつの理由としてはそれが自分を映す鏡でもあるからなのではと思います。しかもとても高い精度で映しだす鏡。自分と向き合わざるを得ない。
この時節には内省的な時間を過ごす人も多いと思います。そらあるき臨時号では、みなさまにいただいたご支援を力にして、良いものをお届けできたらと思います。
編集部 齋藤