写真集「SNAPS MOROCCO」刷り出し
vol. 4 2020-12-26 0
SNAPS MOROCCOも二回の色校正を終え、本印刷の刷り出しです。
印刷は山田写真製版所富山本社で行います。刷り出し前にはプリンティングディレクター熊倉桂三さんを始め関わるスタッフで最終会議も執りおこなわれています。
そして今回の印刷はUV印刷で行います。
UV印刷は、印刷直後にUV(紫外線)を照射することで瞬間的にインキが硬化するため、油性印刷と違い様々なメリットがあります。
先ず我々が感じる特性としてドライダウンがありません。刷り出した直後に仕上がりを目にすることが出来るので、微妙な色調整もドライダウン後を想像することなく確認出来、後々イメージと違っていたと言う事がありません。また、油性インキと比べて皮膜の強度が強いためキズが付きにくく、対摩性に優れています。
もちろんデメリットもあります。一般的にUV印刷は瞬間硬化のためレベリング性が低下し、グロスも低下すると言われています。ようするにやや眠くなると言った印象を与えます。
しかし、山田写真製版所の印刷に画質の低下は許されません。
そんなような事があれば写真印刷にUV印刷を採用しません。
これを改善するため、熊倉桂三さんはインク会社と長年にかけ特別なレシピを造り、その両立を成し遂げたのです。油性印刷と同等の仕上がりで、UV印刷の性能を併せ持った印刷を行うのです。
一切の妥協を許さず、常に進化をし続けるプリンティングディレクター熊倉桂三さん。また、そのこだわりを受けてそれに応える印刷技術者たち。それはまさに山田写真製版所だから出来るクオリティだと感じます。
刷り出し立ち会いは、印刷機に掛けての最終色出しとなります。
「Cを少し抑え、Yを上げ…」などの細かい指示を入れながら何度も印刷を繰り返し追い込んでいきます。特に一台目の色出しがきキモですので時間もかかります。
そしてようやく決定した刷りにプリンティングディレクター熊倉さんのOKサインが入ります。立ち会った私もその横にサインを入れました。
この色味を変えずに印刷機の機長が細かくチェックしながら全部数を印刷していきます。
しかし、あらためて紙への印刷、そして山田写真製版所の刷り上がりに感動しました。これまでモニタで見ていた写真からは感じる事の無かった驚くべき立体感があります。
写真の中の人々がまさに浮き上がってきているのです。優しい風合いの紙に、黒の深みが効いた写真の良さ。これは写真集でしか味わえないものでは無いかと思います。
刷り上がりのサンプルを手に、熊倉桂三さんとここまで一緒に写真を調整してくれていたプリンティングディレクター黒田典孝さんとともに記念写真を。
印刷が全て仕上がったら次は製本です。
ぜひお楽しみに。