「曙光」監督・坂口香津美からの御挨拶
vol. 2 2018-03-05 0
自殺救助をモチーフにした映画「曙光」の公開と宣伝のためのクラウドファンディングを開始しました。
自殺者数が最も多い3月は自殺対策強化月間であることから、それに合わせて「曙光」の試写会を開始、9月の自殺予防週間のころ、公開(上映)をしたいと思っています。
特に、9月1日は例年、年間を通じて子どもの自殺者が最も多い特別な日です。夏休みが終わり、新学期が始まる日だからなのでしょうか。また、9月10日は世界自殺予防デーです。
「曙光」を作らなくてはと、私自身、半ば使命感のようなものを感じ続けて来た理由は二点あります。
一つ目は、1990年、とある自殺現場に遭遇するという個人的な体験があります。そのときの衝撃は、その後の私の人生に大きな影響を与えました。
二つ目は2010年、ドキュメンタリー番組の企画で、和歌山県の南紀白浜にある教会の牧師で自殺救助活動の第一人者、NPO法人 白浜レスキューネットワーク理事長の藤藪庸一さん、亜由美さん夫妻を訪ねたことです。
自殺をしようとする人を保護し、救助し、教会の自宅に連れ帰り、社会復帰への方策と自立への道を一緒になって模索する夫妻の姿は深く胸に刺さりました。
「いつか必ず、藤藪さんをモデルにした映画を作るつもりです」
その日から8年かかりましたが、不意に口をついて出た言葉の約束を守る事が出来て安堵すると同時に、もう一つ果たさなくてはならない責任が生まれました。それは映画は見られなくては映画でないという真理です。
日本は一日に約80人、年間2万人以上の人々が命を絶つ自殺大国です。
いまこの瞬間も、どこかで誰かが生きる希望を見失い、SOSを発しているかもしれません。映画が描き出すのは、まさにそんな生と死の狭間で葛藤し、最後の救いを求める人々の姿です。
「重大な決断をする前に、迷わずにご相談ください。
私たちは自殺をしようとする人たちを、救助する活動を行っています。
あなたの電話を待っています」
映画のなかでくり返されるメッセージです。
その呼びかけを今秋、スクリーンで感じていただけたらと思います。