ビハインドストーリー その8
vol. 18 2023-12-02 0
消滅集落で過ごしていたある日、カユアングアの家の前に大きな獣の足跡が残っていた。見てすぐに分かったが、それは白熊の跡だった。まだ近くにいる気配があり、それを察知したリーダー犬のマクゥトが白熊を追いかけた。
カユアングアもライフルを取り出すとすぐさま犬ぞりを走らせた。
しばらくは追跡が続き、マクゥトと白熊の姿が見えたところで、カユアングアは犬たちを放った。我々は足跡をたどり、1時間ほど追いかけると氷山の麓に犬たちが集まっていた。
だが、白熊はどこかに消えていた。
どんなことが展開するだろうと緊張していた自分には、見たい気持ちと、白熊が逃げてくれてほっとした気持ちとが混在していた。