コラム3 油が違う
vol. 4 2017-05-19 0
コラム3 油が違う
【南仏の特徴的な「鷲の巣村」サン・ポール・ド・ヴァンスの夕景】
日本で、背景の文化が違うことを「水が合わない」と表現したりします。これは誠に日本的な表現で、日本の食文化が水に魚系の出汁を煮出して調理のベースとする「出汁文化」であることと関連していると考えられます。
一方、河川があまり急流でなく、石灰岩質の土地が多いフランスでは、川の水質があまりよくなく、水をベースとした料理はあまり発達しませんでした。私がパリに住んでいるときに、某有名シェフがホストを務める料理番組をよく見ていたのですが、新しいフランス料理を標榜するそのシェフなのに、彼が毎朝プレゼンする料理は、いつもきまって最後に、「は~いここでクリームを投入します!」となることが多く、日本人の私は、ちょっとこれでは重たいな・・と結局そのレシピを作るのをあきらめる、ということがよくありました。
北部フランスを鉄道でも車でも、走るとよくわかりますが、フランスは酪農国家で、どこへ行っても牛や羊が草を食む光景が見られます。カフェオレの国、フランスは、料理にも、大量にクリームが使われています。
・・・・というのは、あくまでパリを中心とする「北部フランス」に特徴的なことです。最初のコラムでも、「南と北では色が違う」と書きましたが、実は、「南と北では油も違う」のです。北の、乳脂肪分たっぷりの料理に対して、南フランスは「オリーブ文化圏」。とにかくベースはオリーブオイル、で、パンにそのままつけるところから始まり、ドレッシングは、ほとんどオリーブオイルとワインビネガーと塩コショウで、食卓で作られるもの、そして、他のほとんどありとあらゆる料理にも地元産のオリーブオイルが、それも、多くの場合ニンニクとセットで、用いられます。どちらが健康に良いかは・・いうだけ野暮というものでしょう。
健康な太陽の元、健康なオリーブオイルを使った料理たち、バカンスは、もちろん「体と心の再生」と意味合いがありますから、南フランスが、いかにバカンスに適した土地か、お分かりいただけますでしょうか?
さらにスパイスとして、音楽も・・南フランスのバカンスに合う音楽も、いかがでしょうか?